スポーツの普及・マーケティング
先日、フライングディスク競技の普及・マーケティングに関する取組状況について、スポーツ庁のヒアリングを受けてきました。スポーツの世界は狭いようで、「日本フライングディスク協会の取組みが面白い」という噂話がスポーツ庁の担当者の耳に入ったそうです。
今回のエントリーでは、スポーツ庁が進めている"スポーツの普及・マーケティング"についてまとめていきたいと思います。
普及とは?マーケティングとは?
まずはじめに、スポーツの「普及」と「マーケティング」がそれぞれ何を意味するのかを確認しておきましょう。いくつかのスポーツ庁の資料では以下のように定義されています。
普及=競技人口や愛好家の拡大等
マーケティング=収益の拡大
マーケティングの定義は少し意外でした。ただこれも、「中央競技団体(NF)も収益事業を実施して独立採算で経営しなさい」というスポーツ庁のメッセージなのかもしれません。
スポーツの普及・マーケティングを進める目的
スポーツ庁がスポーツの普及・マーケティングを進める目的は、"NFの経営力強化"にあります。NFは多くの登録人口・団体を有するとともに競技会等を独占的に実施しており、NFの動き方1つで統括する競技の環境、ひいてはスポーツ市場全体の規模拡大に直接的な効果をもたらし得る団体です。つまり、"NFが持っているリソースを上手く活用できればスポーツ産業全体が活性化する可能性が高い"と言えます。
その一方で、多くのNFは収益力向上に不可欠な普及・マーケティングの重要性に関する認識が十分ではないという課題を抱えています。そのため、普及・マーケティングに関する活動を実施するための人材や資金が不足しており、経営の非効率性やそれに起因する様々な不祥事が発生しているという現状があります。
個々のNFが戦略的に普及・マーケティングを実施することでこのような現状を打破し、最終的にはスポーツの成長産業化を目指すというのがスポーツ庁のビジョンのようです。
スポーツ庁が主導する意味
私の個人的な見解になりますが、スポーツ庁主導でNFに対して普及・マーケティングの実施を促す運びとなったのは、個々の競技が独自に活動を展開しているだけでは国内のスポーツ市場全体が成長しないと国が判断したからではないでしょうか。経済学の世界で言えば、「市場の失敗」に対して政府が介入した格好です。
また、スポーツの普及・マーケティングの文脈の中で「専門知識・スキルを有する人材又は組織との連携」というフレーズをよく見かけます。この背景には、NFとスポーツビジネスを専門としている企業をマッチングさせ、NFの持つリソースを効率的に活用しようという思惑があるのではないでしょうか。スポーツ庁は文部科学省の管轄なのですが、この辺の発想が経済産業省的なのは興味深いですね。
おわりに
なんだか政策レポートのようなエントリーになりましたが、今回のヒアリングを通してスポーツ庁が何を考えているのかがよくわかり、とても勉強になりました。NF関係者として、次なるアクションを考えたいと思います。尤もフライングディスクの場合、普及・マーケティングの前にまず協会ガバナンスの強化を急がなければならないのですがね…。(NFのガバナンス強化については前回のエントリーをご覧ください。)
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