花粉症ならネギを食べなさい

　いきなり、ダイエット本かサラリーマン向け啓発本みたいなタイトルですが。
　当該雑文の結論が、これです。
　だって、タイトルで結論出しておけば、本文読まなくても救われる花粉症患者がいるかもしれないじゃないですか！
　これは、人助けのためのタイトルなんですっ！

　ところで、私は数年前に男友達Ｋ氏に勧誘され〈エビ天は尻尾まで食べる教〉に入信しました。
　おかげで、エビ天の尻尾の香ばしさ、歯ごたえの素晴らしさに目覚めることができたうえ、カルシウム、キチン、アスタキサンチン等の栄養も摂取でき、健康をキープ。
　さらには、難関大学に合格し、素敵な彼氏ができ、一流企業から内定をもらい、宝くじで三億円が当たりました！
　以上、半分ぐらいは嘘だけど、〈エビ天は尻尾まで食べる教〉に感謝！

　すでにＫ氏は、勤務先である某お役所でも、異教徒を次々と〈エビ天は尻尾まで食べる教〉に改宗させ、多くの人々を救っていると聞きます。
　私は、彼の食に対する愛と情熱と信念にすっかり感服いたしました。
　人と生まれたからには、かくありたいもの。
　ならば、私は、花粉症に効くというネギを積極的かつ計画的に食べる信仰を興し、自分と同じ多くの花粉症患者を救おうではありませんか！

「花粉症にはネギが効く」
　それは、私が尊敬する、大変な努力家である鍼灸師の先生の教えです。
　20年近く前にスギ花粉症を患い、その後、ヒノキ花粉症デビューも果たした疑いがある私を救うために、先生は歩むべき道を示してくださったのです。

「９月から毎日、ネギを一本食べれば、春になっても花粉症は出ない」
「どんな調理法でもいいから、とにかく、一日にネギを一本食べる」

　大切なことなので、もう一度言います。
　９月から毎日。
　ネギを一本。

　いやいやいや。
　無理無理無理。

　昔話「鼻たれ小僧様」で描かれた人間心理ですよ。
　働き者の貧しい老夫婦が、善行のおかげで、龍神様より「鼻たれ小僧様」を与えられる。
　毎日、自分の手でとったエビを鼻たれ小僧様に食べさせてあげれば、巨万の富が得られるというナイスなシステム。
　しかしながら、老夫婦は鼻たれ小僧様のおかげで大金持ちになったら、毎日エビをとるのが面倒になってしまった。
　鼻たれ小僧様の、鼻をたらしたこ汚い子供というビジュアルにも、耐えられなくなった。
　そうして、「もう、富も蓄えたことだし、そろそろ……」と、鼻たれ小僧様にお引き取りを願った結果、老夫婦はまた、元の貧しい生活に戻ってしまったとさ。

　働き者の老夫婦が大金持ちになったとたん、毎日エビをとるのが面倒になる。
　それと同じ。
　大金持ちなのに、貧乏回避のために、毎日、わざわざエビをとりつづけるなんて……。
　健康なのに、花粉症回避のために、毎日、わざわざネギを一本食べつづけるなんて……。
　そんな面倒なこと、できるかーっ！

　しかし、かく申す私も、今年の２月になって、急に焦り出したのです。
　もうすぐ、奴が来る。
　スギ花粉の奴が！
　鼻水、くしゃみ、鼻づまり、目のかゆみを伴い、奴が来る！

　刻々と近づくスギ花粉の来襲におびえる中で、突然、思い出したのは、鍼灸師の先生のお言葉。
「９月から毎日、ネギを一本食べれば、春になっても花粉症は出ない」
　で、すでに２月になっていたものの、ためしてみたら、わりとサクサク食べられるのですよ。
　ネギ一本。

　バカ！
　私のバカ！
　去年９月から今年１月までの私のバカ！
　なんで実行しなかったんだよーっ！
　こんなにあっさり食べられるのなら、９月から毎日、ネギ一本食べていればよかったよ！

　で、あわてて２月から毎日ネギ一本を食べた結果は、どうだったか……？
　それがですね。
　いつもは大抵、２月の中旬から下旬にかけて出始めていた花粉症の症状が、出なかったのです！
　やったー！

　と思ったのも、つかの間。
　空気中の大量の花粉のせいで太陽の周りに虹色の光の輪が現れる現象「花粉光環」が、東京でも次々と観測された３月８日。
　あれで、もう、だめでしたね。
　２月からの〈毎日ネギ一本生活〉では、限界。
　症状がガッツリ出てしまいましてね。

　付け焼き刃の〈毎日ネギ一本生活〉、花粉光環に敗れる。
　以来、毎晩、就寝前に、私は抗アレルギー薬を服用しております。

　けれど、もし、去年の９月から〈毎日ネギ一本生活〉を始めていたら……。
　こんなことにならなかったのでは？

　だって、毎年、花粉症の季節は、抗アレルギー薬を飲んでいても、くしゃみ鼻水等の症状は出てたんですよ。
　それが今年は、薬さえ服用していれば、大丈夫なの。
　２月から毎日、ネギ一本食べてるからですよ、きっと！

　なので、花粉症の皆さん。
　今からでも、遅くはない。
　毎日、ネギを一本、食べましょう！
　だまされたと思って！

　ネギの超簡単なレシピもお教えしますよ。

◆めんつゆネギ
①ネギを５センチぐらいにぶつ切りにし、ごま油をひいたフライパンに投入。
②蓋をして、弱火で放置しながらも、こげないように、時々、まぜる。
③火が通ったら、めんつゆに投入。以上。

◆ネギの卵味噌炒め
①ネギを好きなように切り、フライパンで炒める。サラダ油でもいいが、ごま油がおいしい。
②少量の水で溶いてやわらかくした味噌を投入、味をつける。
③溶き卵を好きなだけ加え、好きな固さまで炒める。以上。

　そして。
　今こそ、ここで、私は誓おうではありませんか。
　今年の９月からは、花粉症の季節まで毎日、ネギを一本食べます！

　つまり〈９月から毎日ネギを一本食べる教〉を興します。
　信者たちよ、私に続け！

　なお、この記事は多くの花粉症患者を救うために、無料となっております。
　もし、この〈９月から毎日ネギを一本食べる教〉の教えで心が救われ、かつ、お布施をしたい気分になってしまった方がいらっしゃいましたら、noteのサポート機能（100円～）でお願いします。
　そのお布施で、私は今年の９月からネギを買い、自分の体を使って、毎日一本ネギを食べる人体実験をいたします。
　そして、来年春にはその結果をご報告いたします。

　まあ、お布施が一件もなくても、自腹でやるかと思います。
　なので、生あたたかく見守っていただければ、幸いです。
　また、このアカウントをフォローしていただければ、さらに幸甚にございます。

《2019.4.18追記》

　去年９月から毎日ネギを一本食べることもできなかった無精者のくせに、今年２月になってあわてて食べはじめた私ですが。
　毎年ゴールデンウィーク頃まで続く花粉症（つまり、スギだけでなく、いつの間にかヒノキ花粉症デビューもしていたらしい）が、なんと、今年は３月下旬で出なくなったのです！
　抗アレルギー薬をやめても大丈夫。

　鍼灸師の先生には、９月からネギを食べることを勧められましたが、２月から食べれば、３月末には花粉症の症状は出なくなる。
　つまり、二ヶ月間、毎日ネギ一本食べれば、花粉症は抑えられるということ。
　もちろん、それは私個人のケースであり、その年の体調や花粉の量にも左右されることだと思う。
　けれど、花粉症シーズンギリギリで始めた毎日一本ネギ生活は、無駄にはならなかった！

　なお、４月上旬に、
「ひゃっほー！　もう、大丈夫だ！」
　とばかりに、ネギを食べるのをやめたら、とたんに、翌日はクシャミ、洟水……。
　つまりは、花粉シーズン中は、食べつづけなくてはならないようです。