備忘録

これから重要になってくるのは「いかにしてサッカー以外で価値を生むか」ということ。クラブ始動前から分かりきっていたことではあるが、改めてそのことを再認識している。

これだけ全国各地にサッカークラブがあるものの、勝敗やサッカーの質のみで多くの人に価値を与えられるクラブは本当にごくわずかな存在。

その中で、近年はJリーグを目指すクラブとともに地域活性化を掲げる新興クラブが増えてきた。「サッカークラブを通じた地域創生」が一つの合言葉のようになっている。

このような流れの中で「活動する地域」に加えて「移住してくる選手」に対しても自分たちがどういった価値を与えるかを明確にすることが求められていると感じる。

価値観が多様化した現代において、全ての人から受け入れられるようなものは存在しない。

だからこそ
「刺さる人にはとことん刺さる」
「必要としている人にはとことん必要とされる」
存在になっていかければならない。

【クラブ→選手】
元Jリーガーや上のカテゴリーでプレーしていた選手に来てもらえるのであれば非常に光栄なことではあるが、そればかりを追い求めると他クラブと同じような特徴を持つクラブになってしまう。

まずは、
・サッカーを辞めて社会人になったものの、まだサッカーに未練が残っている人
・何らかの事情でサッカーを途中で辞めざるを得なかった人
・今の生活よりもサッカー中心の生活にしていきたい人
といったように、サッカーで完全燃焼出来ていなかったり、単純にサッカーが上手くなりたいと思っていたりする人に「南紀オレンジサンライズFCでサッカーがしたい」と感じてもらわなければならない。

そのためにも、まずは選手がこのクラブに来て上手くなるための練習頻度や環境作りが必要不可欠となる。

〈現在の活動予定〉
トレーニング
火曜・金曜:9:00~11:00
水曜:19:00~21:00(公式戦がない週)
土曜・日曜:公式戦および練習試合
※公式戦の週は土曜:トレーニング、日曜:公式戦
※週4ペースで活動

トレーニング実施場所
上富田スポーツセンター(人工芝)
田辺スポーツパーク(人工芝/土)
文里多目的グラウンド(土)

昨年は関西リーグに近いレベルの社会人チームや強豪大学との練習試合の機会も作ることが出来た。
今シーズンも引き続き実施出来るように取り組んでいきたい。

大きな目標は関西リーグ昇格と天皇杯本戦出場。選手の過去の経歴や目先の結果に捉われるのではなく、「南紀オレンジサンライズFCでサッカーがしたい」と移住で集まった選手たちで達成することが出来れば本当の理想ではないだろうか。

【クラブ→地域】
現状として一番求められている部分は「人手不足の企業に選手が働きにいく」ことである。
地域的になかなか求人を出しても人が集まらない企業が多い中で、やはり若い労働力は求められている存在だと感じる。

それぞれのサッカークラブにはそれぞれの活動エリアがあるので、みなべ町〜白浜町辺りでは自分たちにしか出来ない取り組みではある。(同地域に別チームが誕生すれば話は変わるが)

これは梅の収穫時期も同様で、色々な農家さんから声を掛けてもらうようになった。
その一方で、梅農家自体が通年で仕事があるわけではなく、選手自身も普段は別の仕事をしている。
そのため、手伝いに行ける頻度を増やすことが出来ない。ここはもう少し良い解決策がある気がする。

大前提として、上記に記載した地域への価値は「選手が真面目に取り組む」ことで与えられるものである。
サッカー選手である前に、一人の社会人として責任を持って行動する必要があり、そういったことが出来る人材が集まるクラブにしていかなければならない。

県外から移住して慣れない仕事をする選手が多いので、当然合う合わないは発生する。
ミスマッチを完全に無くすことは難しいにしても、減らしていけるように選手の要望とクラブの目指すべき方向がマッチしているかどうかをしっかりと見定める必要がある。(企業からしても、選手が退団を理由に職場を離れることは好ましいことではない。)

【移住から定住へ】
何よりも大事なことは、選手が長くこの紀南エリアにいたいと思えるような環境をクラブが作ることである。
サッカーが出来るだけでなく、育成年代のチームを通じてサッカーを指導する場があったり、単純に生活しやすかったり。やるべきことはまだまだたくさんある。
将来的な話になってしまうが、移住でやってきた選手たちがこの地域に少しでも定住してくれるようになれば、ようやく関係者以外から見ても存在意義が生まれるのではないか。

クラブが始動して3年目。
上手くいったこともあれば、当然そうでないこともある。今後もそれの繰り返しになるだろう。
ただ、ここまでたどり着くまでにたくさんの方々による応援やご支援、サポートがあった。改めて感謝申し上げるとともに、これからも合う人と出会えるように頑張っていきたい。

最後まで読んでいただきありがとうございました! いただいたサポートはサッカークラブ「南紀オレンジサンライズFC」の運営費として使わせていただきます。