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実行型組織シンドロームから飛び出せ!

重要ポイント③ 徹底した「差別化」を志向せよ

「差別化」に関して少しだけ補足しておきます。

実は商品の利点を伸ばし、欠点を改善し、価格も安くする方法は真の差別化ではありません。

この方法では商品は売れません。これはサービスでも、事業でも同じです。なぜ?

真の差別化とは他社がやっていない独自性の高いことです。
プロジェクト会議内で深く議論をする時間を与えられたプロジェクトの真の意義は独自性の高い新商品、新サービス、新事業の創出にあります。独自性の高い商品はプロジェクトだからこそ生みだせるのです。

「独自性の高い商品など本当にうちの社員たちで創出できるのだろうか?」
そう思われるかもしれませんが、手順はごくごくシンプルです。そして実際にかれこれ二十年以上もこの極めてシンプルなフレームワークで独自性の高いヒット商品の創出や新事業の創出を行っています。

手順は以下の通りです。

① 今ある商品やサービスを構成する要素をすべて書き出す
② その中から任意に何かの要素を捨てる
③ 捨てて正反対のものに置き換える
④ 捨てて正反対のものに置き換えたことによりお客さまが新たに得られる便益(ベネフィット)を考える
⑤ 捨てることにより生じる自社内の問題の解決策を考える

この思考パターンを何度も繰り返すだけです。
(この方法は下記の書籍の中でも詳しく紹介しています)

最後にプロジェクトが成功するポイントをいくつか付け加えさせていただきます。

□ メンバーは必ず同じ情報を同じ量で共有すること

 例えば日常業務ではエンドユーザーとの接点が少ない開発部や生産部などのメンバーも、営業に同行するなどして、お客さまを訪問し、自分の目と耳でお客さまの声を把握させてください。情報が偏ると議論は情報をもつ人の意見に引きずられてしまいます。これを避ける意味でも顧客関連情報は全員が同じ情報、同じ情報量になるように常に配慮してください。

□ 会議の最後に次回までの各自の行動を決定し、次回の会議の冒頭でこの進捗の発表から実施すること

□ 3回目の会議以降にプロジェクトで企画する商品やサービス、又は新事業のお客さまや社会に向けた使命を明確にする。さらにその使命を毎回のプロジェクト会議の中で確認をする。

□ 3回目の会議以降に自主目標を決定すること。「〇〇〇〇年に〇〇億円達成」のようなシンプル且つ明確なものにすること。さらに目標を立てて以降はプロジェクト会議でこの目標を常に会話の中に入れること。

いかがでしたでしょうか?プロジェクティングの内容はきわめてシンプルです。いわゆる報告会のような会議ではなく、そこに集まった人の「知」や「経験」、場合によっては「想い」をぶつけあい化学反応を起こして、独自性の高い顧客視点の売れる商品やサービス、事業を創出させるものです。

プロジェクトには何ら権限を与えませんので、その実行に関して最終的な経営判断を行えます。従ってプロジェクトが暴走するリスクはまったくありません。

最後に

最後までお読みいただきありがとうございました。

多くの会社は戦略型組織として誕生します。創業期の戦略型組織であった期間は、会社によって実にまちまちです。

そして会社が発展する段階では実行型組織へと転換が必要不可欠となります。実行型組織は会社を拡大、成長、発展させる上で重要な組織形態です。
しかし、実行型組織傾向に偏りすぎると時間の経過と共に社員から当事者意識や、自ら考え提案・自ら実行することや、そして活力や働きがいさえも静かに奪ってしまうことがよくあります。それを私たちは実行型組織シンドロームと呼んでいます。そして今、多くの日本企業はこの実行型組織シンドロームに陥っているように思います。

(こちらのnoteの最後に簡易診断シートがありますのでぜひ確認してみてくください)

また実行型組織を支える再現性の高い成功のシナリオはいつか必ず陳腐化・老朽化します。

実行型組織化することは会社のゴールでは決してありません。

会社がさらに成長し経営者も社員も幸せになれる、働きがいのある場となり、社会にさらなる貢献を行うためには、再び戦略型組織へ回帰し戦略型組織と実行型組織のハイブリッド組織にしなくてはなりません。

実行型組織の推進力と、戦略型組織の創造力を手に入れ、それが御社の両輪となれば、たとえ御社が今、一時的に停滞していたとしても、再び成長ラインに乗ることができるでしょう。

当社はこのマニュアルでご紹介させていただいた独自のプロジェクティングのノウハウを用いた「プロジェクト・コンサルティング」でクライアントと共に大きな成果を上げてきました。

私からのアドバイスは繰り返しとなりますが「すべては再び失敗から学べるのだ」とマインドをセットしてくださいということです。まずはこのマニュアルでご紹介した小プロジェクトを御社でもぜひスタートしてください。

そして私からのこのnoteでお伝えする最後のアドバイスは「ぜひまずは5名を集めてやらせてみましょう」です。いい人材、いいリーダー候補がいない、うちの会社ではできそうもないからとプロジェクトを組むのをやめてしまえば、何も状況は変えられません。まずは行動を起こすことこそが重要だと私は信じています。

最後までお読みいただきありがとうございました。
御社のこれからの成長と成功を心よりお祈りしております。