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ショートショートとスケッチ

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ショートショートと一瞬の切り取り
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2022年2月の記事一覧

とてもとても

 とてもとてもが口癖の彼だったことがある。
 彼女は習字だかお花だかのお家元で、一緒にいると茶室にでもいるようなのっぴきならない座標軸を感じてしまう。
 僕はただの書店員だった。
 苦しいことが多かったので、笑顔で仕事をしていたら彼女に誘われた。

 僕はお腹から内臓が飛び出ているんですよと言ったけれど、彼女には関係がないようだった。
 私が選んだのが正解みたいな顔で、僕の飛び出した胃やら膵臓やら

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【大河小説】くに

 ある男が悪い行いをする。
 彼は追われ、身を守らなければならない。
 そのために味方を作る。
 しかしその味方も方々に敵を作っている。
 彼らは自分たちの安全を守るため、さらに強力な共同体を作る。

 こうしてできたのが、国である。