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あの子の日記 「危ない月をさかさまに」

日本のどこかの、誰かの1日を切り取った短篇日記集

ほどけた赤い糸が小指に絡まったまま、わたしの夏は終わってしまった。

思い出を小さく折り重ね、スカートのポケットにしまって洗濯機にかける。

水のかわりに涙を注ぎ、ぐるぐる回る、きみとの時間。

日が当たるベランダでじっくりと乾かしたら、ポケットの中身をそっと取り出す。

きれいに広げようとやさしく触れても、しずかに破れる脆い関係。

元に戻せないなんて分かっているのに、セロハンテープを探すわたしは馬鹿ね。

あたまのネジが何個か抜けちゃったので、ホームセンターで調達したいです。