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騙すつもりのない”きれいな嘘”に注意

出典:人は悪魔に熱狂する 悪と欲望の行動経済学|松本健太郎|毎日新聞出版

マクドナルドが以前販売していた、「サラダマック」の話。

以前マクドナルドがお客さんに調査を行った際、

「ヘルシーなサラダが食べたい」
「ヘルシーじゃないからマクドナルドには抵抗がある」

という声が目立ったそう。

それを聞いた商品開発のメンバーは、2006年ヘルシーを具現化し、「サラダマック」を発売。

しかし「サラダが食べたい」というお客様の声に応えたにも関わらず、ほとんど売れず販売終了。

結果「サラダマック」は、失敗に終わってしまった。


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マクドナルドはその失敗の後の2008年「クォーターパウンダー」を発売。クォーターパウンダーとは、1/4ポンド(約113g)の肉を使った、従来のハンバーガーの2倍以上のサイズの肉を使ったものだ。

以前のサラダマックとは真逆に位置する、なんともボリューミーな商品…にもかかわらず、これが大ヒットしたのである。

つまり「ヘルシーなサラダが食べたい」「ヘルシーじゃないからマクドナルドには抵抗がある」は結果的に「きれいな嘘」だったことの証明となった。


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つまり、データは「事実」だが、「真実」とは限らない。

実際「サラダが食べたい」と本心から願う人もいたかもしれないが、結局大半の人は世の中の流行りに乗って、建前で言っているに過ぎなかった。

データの向こうにいるお客さん(人間)の本心は

「(本当は、大きくて油っこい肉に思いっきりかぶりつきたい!)」

だったということだ。

しかし人間は「少しでも自分をよく見せたい」という願望が働き、騙すつもりがなくても「きれいな嘘」をつくときがある。

「口ではヘルシーとかサラダとか言うけど、本当だろうか?」
「体にいいことをして、バランスの良い生活を送りたいとか言うけど、そんなお年寄りみたいな発想、20代が本当に考えるだろうか?」

このように、データを鵜呑みにするのではなく、データの根本にある”人間”に目を向け、疑い、洞察することが大切なのだ。

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