『演習 相対性理論・重力理論』(真貝寿明、鳥居隆 共訳)…約500におよぶ問題で構成された唯一無二の「演習書」
2019年11月下旬発行予定の新刊書籍、『演習 相対性理論・重力理論』のご紹介です。
『演習 相対性理論・重力理論』
原著名: Problem Book in Relativity and Gravitation
著: Alan P. Lightman、William H. Press、Richard H. Price、Saul A. Teukolsky
訳: 真貝寿明、鳥居隆
小学生のころの計算ドリルに始まり、受験勉強や資格試験勉強、さらに個人的な勉強でも、「演習書」や「問題集」、もしくは『例題で学ぶ○○』といった書籍で学習する機会は多いと思います。それはやはり、講義を聞いて黒板をうつしたり、教科書を読んだりするだけでなく、自分の手を動かすことで、ただの知識ではなく身に染みて理解できるからでしょう。
しかし、「相対性理論」や「重力理論」という非常にハイレベルな物理学の演習書は、世界中を探してもこの“Problem Book in Relativity and Gravitation”をおいてほかにありません。原著は40年以上前の発行ながら、いまでも世界中で用いられている、まさに名著とよぶにふさわしい書籍です。訳者である真貝寿明先生と鳥居隆先生も、次のように述べています。
「一般相対性理論,重力理論の演習書としては,いまだに類書はなく,きわめてユニークな書である.原著が世に出た1970年代のはじめは,一般相対性理論の面白さが認識され,ブラックホール研究が大きく進展した時期でもあり,同時に,いまでも標準的に読み続けられている,ランダウ–リフシッツの『場古典』,ミスナー–ソーン–ホイーラーのいわゆる『電話帳』,ワインバーグの『宇宙論』,ホーキング–エリスの『大域的構造』などの出版も相次いだころである.その中で,『演習書』という形式で一般相対性理論の分野をカバーした本書は,実践的な計算方法のノウハウも含まれていることから,現在でも根幹部分の内容は古びていない.」
〔『演習 相対性理論・重力理論』、「訳者まえがき」より〕
アインシュタインによって特殊相対性理論と一般相対性理論が発表されてから100年以上がたちますが、観測技術の向上に伴い、重力波の検出やブラックホールの撮影など、宇宙スケールの新しい発見・観測が近年も続いています。一方で、素粒子といった目に見えないミクロな世界における重力の理論的研究も盛んに続けられており、一般相対性理論はその土台になっています。
本書で取り上げられているのは、どれだけ研究が発展しても古びることのない、珠玉の問題たちです。また、巻末の付録では、第一線で活躍されている研究者である訳者のお二人によって、原著発行以降の相対性理論や重力理論の研究の進展がまとめられています。あわせて読むことで、より一層理解が深まることでしょう。
ぜひ、一度手に取ってみてください。
1975年に発行されて以来、相対性理論・重力理論の唯一無二の演習書として読み続けられてきた“Problem Book in Relativity and Gravitation”の待望の邦訳。
約500題もの問題から構成され、特殊相対性理論・一般相対性理論・重力理論・相対論的宇宙物理学・宇宙論をカバーしている。
重力波やブラックホールなど、技術の向上によって新たな観測や検証が続く相対性理論や重力理論。
現代でも古びることのないその理論の根幹や実践的な計算のノウハウを伝える、研究者必携の一冊。
邦訳版では、訳者による補遺として、最近の研究に関する概説も加えられている。
【目次】
第1章 特殊相対論的運動学
第2章 特殊相対論的動力学
第3章 特殊相対論的座標変換,不変量,テンソル
第4章 電磁気学
第5章 物質と放射
第6章 計量
第7章 共変微分と測地線
第8章 微分幾何学:より深い概念
第9章 曲率
第10章 キリングベクトルと対称性
第11章 角運動量
第12章 重力一般
第13章 重力場の方程式と線形理論
第14章 曲がった時空での物理
第15章 シュヴァルツシルト時空
第16章 球対称時空と相対論的星の構造
第17章 ブラックホール
第18章 重力波
第19章 宇宙論
第20章 相対性理論の実験的検証
第21章 その他
付録 最近の一般相対性理論研究の進展
A.1 ブラックホール研究の進展
A.2 宇宙論研究の進展
A.3 重力波研究の進展
A.4 重力理論の検証の進展
A.5 拡張重力理論の進展
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?