2023年12月中旬発行予定の新刊書籍、『都市計画学』のご紹介です。
同書の一部を、発行に先駆けて公開します。
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まえがき
─都市計画の基礎を学び、都市づくりを考える─
現代は都市の時代。都市文明の発展に大きな期待を寄せながら、都市やまちに多くの人々が暮らしている。それだけに都市は、住む人々の価値観とともに都市の姿や性質、内容が変わり、とどまるところがない。かつての高度経済成長・人口増時代で拡張した都市は、いまや低経済成長・人口減で縮小する都市である。
言い換えれば、都市は無機質な物体ではない。住む人々の暮らしがあり、訪れる人々との交わりがある。その中で古代以来の都市の歩みがあり、現在の活動と苦闘があり、将来への期待がある。これらから、「市民などが躍動する中で、都市はさまざまな機能を発揮し、歴史と文化を創成する活動体」である。このため、その質を向上させるためには、従来に増して快適で持続可能な都市づくり、安全・安心のまちづくりが望まれる。
本書は、そうした都市づくりの計画や再生のあり方を、目次に示す15章の都市計画とし、多くの写真・図表を積極的に用いてまとめたが、とくに注意したことは次の点である。
都市づくりの課題に対処し、その意義と内容および都市の計画制度や事業などに関わる全体の概要が掴めるように努めた。なお、このため都市計画法の引用も多いので、読む際には、Web上の“e-Cov法令検索”で最新改正版を入手して手元に置いておくとよいだろう。
都市づくりの計画、規制および事業は、市民参加を主にし、国、自治体、住民、事業者などの協働が基本であり、そのことを念頭においた。
上記から都市づくりは、性格を異にする関係法と技術事項の組み合わせとなり、多くの専門用語が混じるが、わかりやすい説明を心掛けた。
著者は都市問題を長年研究し、国内外の諸都市をみつつ、都市計画関連の調査研究会や計画に参加してきた。本書がその体験を伝え、都市計画を学ぶ入門、啓発となり、健全かつ魅力ある都市づくりの理解と実務に役立つことを切に願うものである。
(後略)
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