見出し画像

モダン・ホラー(84年・第三舞台)

はやぶさ2の話をNHKクロ現で見ていたら、モダンホラーの世界を思い出してしまいました。

1984年上演。核戦争の果てに人が住めなくなってしまった地球から脱出し、M16という星を目指す宇宙船。しかし密航者ホタルの出現で、地球脱出計画は大きく狂い始める。
彼らの子孫が暮らす惑星は、「終わってしまった」人々がたどり着く場所。そこで人々は「神の雫」を求めてホタルを追い始める。

第三舞台の看板俳優・岩谷真哉さんを事故で失った後、最初の舞台。劇研総出といってもいいキャストで、とにかく賑やかに演じられた。間口4間あるかないかのスズナリに、役者総勢20名。芝居の中で「この狭い舞台によくもまぁこんな大勢、デリカシーはないのか!」という台詞があるくらい。
第三舞台の役者に加えて、後に山の手事情社を立ち上げる安田雅弘さん、ザズウのスズカツさんなどが参加する中、第三舞台で演助を長くつとめ、いまや脚本家として有名になった戸田山さんが役者で参加しているのがマニアとしては気になるところ。
そしてこの頃は小須田さんが舞台監督をされてた頃。主演クラスでほぼ出ずっぱりの役者が舞監やってるってあたりがこの頃はまだ本当に小劇場というか、学生劇団からの過渡期だったんだなというのを感じます。

終わりと始まり。
終わりの希望とはじまりの希望。
そんなものを描いた名作だと思うのだけど、一度も再演されていないし、映像も残っていないので、これも今や戯曲の中にしか残っていない芝居ですね。
上演は1984年。当時の私はまだ2歳。
当然戯曲でしか読んだことのない芝居なのだけど、なんだかとっても好きな芝居なのです。
なんかもう色々詰んでるなーって思った時とか、このまま明日も生きてるのしんどいなーって思ったりした時に、ふと読みたくなる。でもって、読んだらなんか、とりあえず、明日も生きてみるしかないかーって思ったりするのです。

最後の、ホタルとジョー達の会話のシーンが大好き。
平気ではないと言ったところで、神様は助けてはくれないけれど。
平気ではなくても生きていくのが人生だから、そんな時に側に寄り添ってくれるような芝居があるって幸せなことだなあと思います。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?