7/14のことば探し

読みたい本が世の中には沢山ある。私は遅読なので、一冊読み終えるまでに他の人より時間がかかっている。そんな遅読の私でも、すいすいと読み進めることができた穂村弘さんの作品から。


「伝わるか伝わらないか判らなくても、自分の好きなものについて熱く語るってやっぱり大事だ、と思った。」

『蚊がいる』 穂村弘:著 角川書店

この本の中で、穂村さんは「好みや考えは人それぞれだからな、とつい思ってしまう」と言っていた。本当にその通りで、私も人と話す時に、「考え方は人それぞれだもんな、」と思って自分の考えを言わないことがある。

特に、自分の意思がしっかりしてる人を前にすると、その人の考えの勢いというのか、エネルギーがすごくて、それを前にすると自分の思いがうまく言えなかったり、自分の思いを言わずにいることがある。考えはしっかり持ってるのに、どうも言葉にすると薄っぺらく感じてしまったり、不安になるのだ。

そうやって自分のことや考えを話すのに戸惑っていた時、友人から「何を考えているのか、分からないから寂しい。もっと仲良くなりたいから、思ってること色々話してほしい。」と言われた。言われてハッとした。それはそうだ。友人からすると、こちらは色々と話し心をオープンにしている状態なのに、相手(私)は話を聞いてはくれるけど、自分の話は全然してくれない。ずっとこちらのフィールドの話しかしていない。恥ずかしながら、そこで相手の気持ちに初めて気付いた。仮に自分がその立場だったら、自分の話を全然しない相手に対して、不安が募るばかりだ。

「好みや考えは人それぞれだから」と言うのを躊躇うのではなく、自分がどう考えているのか相手に伝えることは大切なんだなぁと、改めて思った。

たとえ考えが違ったとしても、そういう考えもあるんだ!とプラスの発見がある。それは自分にも相手にも。そういうやり取りの中でこそ、相手のことが理解できたりするのかな、と穂村さんの本を読んでふと思った。

穂村さんの柔らかく、親近感溢れる言葉の数々に読む手が止まらなかった。他の作品も読みたいなぁ。

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