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ワイン。それは、ボトルに詰まったストーリー。

以前暮らしていたところの近くに、行きつけのワイン専門店があった。その店はこちらの要望にあうワインを勧めてくれたが、その薦め方が非常に興味深かった。

そのお店のワインが並ぶ棚の横に、ヨーロッパの立体地図が掛かっていた。ヨーロッパ産のワインを薦めてくれるときはいつもその地図を使って、そのワインがどの国のどの地域で作られているかを教えてくれた。

そこの地質や地形、日照状況で、どの品種のブドウがどのように栽培されているか。どのようなブドウが栽培され、どのように加工されるか。ワインについてはほとんど無知な私でもわかるように、それは親切にわかりやすく説明してくれた。

説明を聞いていると、それはまるで、土からボトルまでにひとつのストーリーがあるかのようだった。ワインそのものを飲む前にストーリーに陶酔してしまいそうだった。

おまけ情報としてお薦めの料理も教えてくれた。逆に食べる予定の料理を言うと、それにあうワインを薦めてくれることもあった。

こちらからいろいろなリクエストをした。
春を感じるワイン。
土っぽいワイン。
自分でもよく言ったものだと思うのが、「鬱陶しい梅雨を受け入れたくなるワイン」。
どんなわがままなリクエストを言っても、それにあうワインを数本選んでくれて、それぞれのワインについて詳しく教えてくれた。その中から選んだワインを家で飲むと「そうそう、これこれ」と頷けた。店員さんには脱帽するしかなかった。

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