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Be yourself~立命の記憶Ⅰ~③

◆第1章:女子トーク(3)

私「まぁ、彼に振られた私は、そこから荒れた。すごい荒れた。そこまで好きじゃない人とも仲良くしたり、彼に興味は無い、っていうフリを一生懸命したのよね。」
金さん「あらー、じゃぁ、森川さん、高校の時遊んでたの?」
私「う・・・うん。そういう事になりますかね・・・。私の中では黒歴史時代。」
二人「・・・・。」

私「・・・ま、そ、それでさ、それでさ、次の電話なんだけどさ。」
二人「うんうん。」
私「電話の内容で覚えてるのは、群馬の大学に行っているって話した事だけなのね。彼がしゃべった内容は他に思い出せないの。
 で、私は会いたいなー、とか東京に来たら連絡してとか言ったような記憶がある。」
二人「ふんふん。」
私「そんで、昨日思い出したのが、私、彼氏居るって言った気がする。」
二人「あー・・・。」


私「え、何で彼氏居るって言っちゃダメなの?」
刈谷さん「それは内緒にしておかないと、ダメでしょー。」
私「え、何で?だってあたしすごいモテるから、ずっと彼氏いるもん。」
刈谷さん「そうなの?」
私「うん。私、すごいモテる。不思議なくらい。」
刈谷さん「あ、そうなんだ。いいなー、私全然モテないですよ。」
私「え、刈谷さん、そんな美人なのになんで?」
刈谷さん「常に警戒してるから。危ないんじゃないかって。キッってなってる。」
私「あー、あたし、まったく何も考えてない。だからよく声かけられるんだ。で、よく騙される。」
金さん「警戒心が無いのね。」
私「そう!警戒心0(ゼロ)。いつでも誰でもウェルカム。」

オーバーリアクションで、軽快に、自信たっぷりに答える私。

金さん「ダメよー、男の人は勘違いしちゃうから、気をつけないと。特に腕を触る、とか、じっと目を見つめる、とかしちゃったらその気になっちゃうんだから。」
私「え、そんなの誰にでもするでしょ。男女問わず、特に酔っ払ったらさ。男友達とでも腕組んで帰ったりするよ?」
金さん「ダメダメ~、そんな事しちゃぁ。その気にさせちゃうじゃない。」
私「え、じゃぁ、あたし今まで相当色んな人、勘違いさせてきちゃった?」
金さん「でしょうねぇ。」
刈谷さん「あー、悪い女だなー。」
私「えー!だって普通の事だと思ってるもん!ボディタッチくらいするでしょ!外国人だってさー。」
刈谷さん「森川さんって、アメリカ人みたいな感じなんですね。」
私「あ、そうそう。海外のほうが合ってる感じはする。」
金さん「まぁ、腕を触る、と、目を見つめる、はダメよ。勘違いさせるわよ。」
私「わ、金さん、魔性の女~。そうやって何人も落としてきたんですね。」
金さん「イヤイヤ、私はそんな。」
刈谷さん「金さんの話は面白いですよー。色々ありますから。」
私「あ、それ今度聞きたーい。いや、ちょっと待て、私が居ない仕事中に何の話してるんすか、二人で。」
二人「ハハハハ。」

そしてまた、私達は、資料に目を落とした。

私「いや、まぁそれでね、えーと、この資料に昨日追記したんだけど、ちょっと思い出したんですよ。」
刈谷さん「何を?」
私「私、この電話を切った後ね、すごく悲しかった事は覚えてるの。」
金さん「なんで?」
私「なんか、感情としては、私が彼の事を好きでいる限り会うことは出来ないんだって思って超凹んだんだよね。」
刈谷さん「なんで?」
私「なんかさー・・・あ!迷惑だって言われたの思い出した!そう、私の事迷惑なの?って聞いたら、すごい冷たく「迷惑だね」って言われた!それで彼すごい冷たい人って思ったんだ。」
私「そんで、その後、彼氏と別れたら連絡して、ってガチャ切りされた気がする!」
金さん「それはそうよー。だって彼氏がいるんだもの。」
私「え?何で?」
金さん「だって、成人式の後って事は、二十歳だから、高校の時から3年でしょ?3年間も好きで好きで、やっと勇気出して電話したのに、彼氏いるなんて。」


私「え?え?どういう事?」


金さん「だから、ずっと好きだった女の子に勇気出して電話したら、彼氏がいるって言われてソッコーで振られちゃったって事よ。」


私「えぇぇぇぇぇぇぇぇー!!!!!何、どういう事?じゃ、彼、私の事好きだったの???」


金さん「そうよー。なのに、彼氏いる女の子が会いたいなんて言ったらさぁ。」
私「だって!あたしずっと彼の事忘れられなかったんだもん!だから会いたいって正直に言っただけなのに!未だに好きなんだって正直に言っただけなのに!」
金さん「だから、彼氏がいるのに、そんな事言っちゃダメよー。傷つくじゃない。」
私「なんで?!なんで傷つくの?彼氏がいるのに会いたいって言っちゃダメ?」
刈谷さん「ダメでしょー。なんでそんな事言うんですか。」
私「だって、会ってみないと何も始まらないじゃん。あたしモテるから常に彼氏いるんだよ?たぶんその時は、ただ寂しさを埋める為だけに、つまんない男と付き合ってたんだと思うよ!」


金さん「じゃぁ、仮に、付き合ってる人が居なくて、よーいドン!で、他の人とその彼が同時に好きですって言ってきたらどっちと付き合うの?」
私「そんなの彼に決まってるじゃん!なんならそのまま結婚もするよ!」
金さん「その言葉をそのまま彼に言えば良かったのよねー。」
私「えー・・・。じゃぁさ、なんで彼は傷ついたの?私が本気で好きなのが伝わってない?」
金さん「だって、そうじゃない、彼氏いるって言ってるのに、会いたいなー、とか、まだ好きなんだー、とか軽いノリで言っちゃってさぁ。」
私「え、まさか浮気するつもりだと思われたって事?」
二人「そう。」


私「えぇぇぇぇー!あたしそんな軽い女じゃないー!!勘違いされてるー!バカー!あたしのバカー!!」
金さん「だから、彼は本気で好きだったってこと。本命になって欲しかったんでしょ。それを、そんな軽ーく、会いたいなー♪なんて言っちゃって。」
私「えぇぇぇー、そんなぁ・・・。私も本気で彼の事が好きだったのに・・・。未だに恋心を思い出すくらい好きだったのに・・・。えぇー・・・・。」

私、ポロポロ涙が出てきた。そんな誤解されていたなんて。

金さん「高校の時だって、好きだったけど素直じゃなかっただけなんでしょ。だって九州男児でしょ?不器用なのよ。」
私「そうだね。(グスッグスッ)その通り。」
金さん「だから、今度会った時に、謝ればいいのよ。あの時は、あなたの事、傷つけちゃってごめんなさいって。」
私「そうだね。(グスッグスッ)」
金さん「彼、たぶんトラウマになってるわよ、ずっと好きだったのに、会いたいなー♪なんて軽ーく言われて。若い頃の森川さんのそのキャラでしょ?」

私は、床にひざまづいて、上を見上げて叫んだ。

私「わーん!ごめんなさーい!あたしバカだったー!!!」

そのまま床にうなだれるように、土下座した。
二人は笑っていた。

1分くらい、その場でうずくまっていた私は、気を取り直して、言った。

私「あ、はい。それでそれで、続き、聞いてくださいよ。」
二人「はいはい。」


私「36歳でSNSでメッセージが届きます。その時はもう好きじゃないよね?」
金さん「まぁ、16年も経ってるから、懐かしかったんでしょうねぇ。あー、昔好きだったなーって。」


私「で、その1年後に私がベトナム行くから、近いし、寄れるなーって思って、ついでに行くから会いましょうって連絡したのね。まずかったかな?」
刈谷さん「いや、森川さんもう既婚者だしね。同窓会みたいな感じでいいんじゃないですか。」
金さん「まぁ、久しぶりに会って燃え上がっちゃったりしたら分かんないわよー。アハハハ。」
私「いやいや、それは困ります!私、主人と子供を愛してますから!」
二人「ハハハハ。」
金さん「その様子じゃ、分からないわよー。あの森川さんが食欲無くすくらいなんだから。」
私「いやー、それでですね、ちょっと聞いてくださいよ。いつからこうなったかって言うとですね、ここ、資料の一番下ね。
 空港に迎えに来てくれるって言われてからなんですよ。たぶん初めて優しくされたから。」


二人「ププッ。」
私「あ、画面キャプチャね。調査結果の資料はやっぱり視覚で理解できるようにと思って。ほら私仕事は出来るから。」
刈谷さん「でも、彼も彼女いるんじゃないんですか?結婚はしてないの?」
私「SNSで見る限りは、結婚はしてない。でも彼女はいるっぽい。全投稿から推測した。私たぶん彼の全投稿、50回以上見てる。」
刈谷さん「どんだけ見てるんですか。」


私「調査は何度もしないと。何か新しい事実が分かるかも知れないじゃん。で、ほら、ここ。たぶん彼女いるのよ。コメントで「仲良くね~」って言われてるって事は女と一緒って事でしょ?」
刈谷さん「まぁ、ねぇ。」
私「そんで、昨日もうSNSのメッセンジャーで聞いてみたんだよね。さりげなく。あ、彼女いるならウチの化粧品持っていくよって。」


金さん「そしたら?」
私「見事にスルーしてきた。絶対いるでしょ。」
刈谷さん「何で言わないんですかねぇ。」
金さん「言いたくないんじゃないの?何か考えてる事あるんじゃないの?」


私「え!止めてよ!ダメだよ!勘違いしないで欲しい!私はヘンな事するつもりはない!」
刈谷さん「まぁ、会ってみないと分からないですよ?」
金さん「海外だしねぇ。まぁ、どうなるかはホント分からないわよねぇ。」
私「イヤー!やめてー!!そんなに煽らないで!!」
金さん「でもキスくらいはしたいんでしょう?」


私「まぁ・・・それは20年も抱いていた恋心があるので多少は。ダメかな?」
刈谷さん「キスだけで止まりますか??」
私「いや、私は止まるよ!普通止まるでしょ!・・・え?止められないものなの?」
刈谷さん「私だったら止められませんね。」
私「え?そうなの?普通そうなの?イヤイヤ、キスくらいなら挨拶代わりだけど、最後までしちゃダメだよ!あたしウチの主人の事、超愛してるもん!」
金さん「今回のきっかけを作ってくれたのもご主人なワケだからねぇ。」
私「そうだよ!こんなステキな旦那さん居ないよ?あたし絶対に裏切らないんだから!」

みんなが帰り仕度を始めた。

私「あれ、みんな帰っちゃうの?」
刈谷さん「まぁ、行ってどうなるかじゃないですか。」
金さん「会って話してみないと分からないしね。」
私「まぁ・・・そうだよね。」
刈谷さん「ま、どうなるか分からないですけどね。」
私「だ~か~ら~、そうやって煽らないでってば!」
二人「ハハハハハ!」

刈谷さん「まぁ、じゃぁ頑張ってくださいね。」
金さん「恋の炎でヤケドしないでくださいねー。」
私「ハハハハ。ありがとう・・・。お疲れ様でしたー・・・。」

二人共帰っちゃった・・・。

続く→◆第2章:お告げ(1)

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