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Be yourself~立命の記憶Ⅰ~⑥

◆第3章:女子トーク2

10月27日(木)。


相変わらず私は、「ねぇ、話聞いてくれない?」と午前中から彼女達に尋ねていた。

刈谷さん「いいですけど、私達まだ仕事中だから時給発生してますよ。お金払うのは森川さんだけど、いいんですか。フフフ。」

私は、懇願するような言い方で、叫んだ。

私「いいよー!お願いだから話聞いてー!!お金払うから話聞いてー!!」
二人「アハハハ!!」
私「ハハハハ・・・。」

相変わらずの社内で、女子トークが炸裂。

私「ねぇ、私こんなんで彼に会って、ちゃんと何もせずに帰って来れるかな?」
刈谷さん「いや、もぅ、こればっかりはねぇ。」
金さん「ねぇ。」
私「いやー、マジでヤバイ。だってチューぐらいはしたいなんていうゲスな私が居る。」
刈谷さん「だったら、チューしなきゃいいじゃないですか。」

私は、ちょっとガッカリしたような気持ちと共に吐き出した。

私「えぇー、だって、20年間も好きだったんだよ?チューぐらいさせてくれよー!」
金さん「キスしちゃった後が大変よー。」
私「いやいや、もう考えてるんだから。別れ際に、じゃぁね、って言って、帰ろうとする彼。帰りたくなくて彼を見つめる私。彼は私にキスをして、こう言うの。
 『これでいいの?』って。アハハハー!20年前と同じセリフー!!」
刈谷さん「もう、妄想だらけじゃないですか。」
私「え?これ妄想なの?私、結構本気でこうなると思ってるんだけど。」
刈谷さん「思い込みですね。」
私「えぇー、がっかり。」
金さん「いやぁー、この歳になってそんなドキドキする事なんてないわー。森川さん、若いわねぇー。」
私「あ、そうですか?えへへ。」

素直に照れる私。

私「それとね、私、彼には言いたい事があって。昔、自分の気持ちに正直になってればこんなに私達すれ違わなかったんじゃないかって。」
金さん「それ、彼に言うつもり?」
私「え、ダメ?」
金さん「だって、それ言っちゃったら、今回こそは正直になっちゃってその後大変な事になるでしょう。」
私「いやいや、今正直になるんじゃなくて!いや今後はそうしろっていう話でもあるけど、私に対してじゃなくて!だってほら、ここにもう書いちゃったんだよね。」

私は、パワポの資料を見せた。
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事実検証2に基づく状況と感情

 ○野口達の話からすると、昔は彼は私の事を好きだったのかも知れない。
 だとしたら、あまりにも不器用すぎ。いつもなんか怒ってるような顔してたのと、冷たくされた記憶しかない。彼は自分の気持ちにもっと正直になったほうが良かったと思う。

 ○私は家庭を壊したくないし、主人も子供も裏切りたくない。充分すぎるくらい幸せ。
 今更、恋愛感情は再燃させない。(当たり前)

 ○彼も彼女を大切にしている事でしょう。
 にしても、見た目チャラくなったなー。

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私「ほら、ここの5ページ目ね。彼が素直じゃなかったからこうなったワケじゃん?だからもっと自分に正直にって伝えたくて。」

刈谷さんがすごい軽蔑したような目で見てる。
あれ、私、何かおかしな事言ってる??

私「ねぇ、だって、今はさ、ほらここにも書いたけど、私は家庭を壊したくない、彼も彼女を大切にしている。でしょう?ま、でもちょっと彼、見た目はチャラくなってるけど。見てこの写真。」

女性2人がワイングラスを持って、彼の両手に抱きかかえられている写真のキャプチャを見せた。

金さん「えー、こんな人なの?」
刈谷さん「何これ。」
私「いや、これはたぶん仕事上の付き合いで撮ったと思う。女性のほうがビジネス交流会だっていってアップしてた。ネタでしょ。」
金さん「彼が遊んでる男になってるなら、尚更言っちゃダメよ?」
私「え?なんで?そうなの?」
二人「そうでしょー!」
私「え、何で?ごめん。全然分かんない。」
金さん「だって、今の自分に正直にって事は、ヤリたかったら正直に誘えって事じゃない。」


私「えぇぇ!!イヤイヤイヤ、そういう意味で正直になれって言ってるんじゃないって!」
刈谷さん「ホント~???」
私「いや、ホントそうだって!今後の彼の恋愛において、不器用な部分を克服して自分に素直になれって言いたいだけなの!」
金さん「ホント~???」
私「いやいやいや、本当だってば。素直に○ンポ立てろって意味じゃないから!」
全員「アハハハハハ!」

私は女子だけだから言えるような下品な事をサラリと言った後、
彼にだけは、私がこんな事言えるような女になってるなんて絶対バレたくないと思った・・・。

私「あ、そんでね、私、今回の旅の目標も決めたの。これ。」

私は、資料の7ページ目を開いてみんなに見せた。

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今回の旅の目標

・私は真面目に彼をずっと好きだった事を理解してもらう

・軽い女だと思われているようなので、誤解を解きたい。

・彼にも幸せになってもらいたい事を理解してもらう

・バンコクのビジネスの話を勉強させてもらう
 ・今後も良い友達として、お互いビジネスが出来るならそれも良い
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私「何もおかしくないでしょ?」
刈谷さん「え。って事は彼とは友達でいたいって事なんですか?」
私「え、ダメ??彼とても優秀だし、お互いのビジネスにメリットがあったら今後もやり取りすればいいじゃん。」
刈谷さん「男と友達なんてありえないですよー。」
私「そんな事ないよ!私、男友達たくさんいるもん。」
刈谷さん「それ、絶対下心があって近づいてるんですよ。」
私「えぇー、そうなの?男ってバカぁ。」

ここで、私、今までの男友達の事を振り返って考えてみた。

私「あ・・・、だから、みんないつの間にか連絡取れなくなったりしてる・・・。なんか急に冷たくなったりさー、よそよそしかったり。」
金さん「みんな、森川さんの事が好きだったんですよ。」
私「えぇー?!じゃぁ、先に言ってくれよって感じー!」
金さん「下心があるから言えなかったんでしょうね。」
刈谷さん「だってそんな先に言っちゃったらつまんないじゃん。」
私「なんで?」
刈谷さん「恋愛って駆け引きが一番楽しいじゃないですかー。」
私「えぇぇー、さっぱり分かんない。」
刈谷さん「何言ってるんですかー。恋愛は駆け引きが一番楽しいんですよ?むしろそれが主役みたいな。」
私「えー!?あたし、全然無理だわー。好きだ!キスしたい!Hしたい!結婚して!ちゃんと言わないと分かんないよ~。」
刈谷さん「まぁ、バカだからね。」
私「あ!バカって言うな~!社長だぞーコノヤロー。」
刈谷さん「あ、はーい。すみませーん。」
私「反省してない!全然反省してないな!その態度!」
三人「アハハハハ」

ここで、私は少し真剣にみんなに切り出した。

私「ねぇ、私って、ADHDなのかな?」

みんなは間髪いれずにこう言った。

金さん「そんなワケないでしょうー。」
刈谷さん「私も違うと思いますよ。だって森川さん仕事すごく早いし、出来るじゃないですか。」
私「そう。仕事はすごく早い。出来る。私デキる女。」
刈谷さん「なんかイチイチ病名付けすぎなんですよ、最近。」
金さん「ねー。テレビなんかでもしょっちゅう言うからそうなのかなーとか思っちゃって、疑っちゃってねー。」
私「え、じゃぁ、私は違う?」
刈谷さん「違いますよ。こんな人世の中にたくさん居ますよ。」
私「こんな人って?どんな人?」
刈谷さん「バカで空気読めない人。」
私「あっ!またバカって言った!バカって言った!」
三人「アハハハハハ!」

私、この時は、全然何も考えてなかったから、みんなの言う通り、違うんだろうと素直に思ってたんだ。

続き→◆第4章:落ち着かない日々(1)

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