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言葉はサプリメント

先日、娘たちが通うバレエのレッスンがあった。
その中の1人が、先週すごい技を見せてくれたと娘が話していたので、その子のお母さんに「○○ちゃん、あんな技を出来るなんてすごいですね!」と言った。すると驚く答えが返ってきた。「うちの娘は何もかも出来なくて、あの技も幼稚園で補習を受けてやっとできるようになったんです……」

え?? あの技を全員が出来る環境の幼稚園?!

その子が見せてくれた技は、新体操も習っているうちの子供たちの間ですら、出来る子はほとんどいないような技だった。
しかし、そのような幼稚園の環境下では、その子は「出来ない子」というレッテルを貼られてしまっているらしい。それだけでなく、お母さんは保護者の方からも「○○ちゃんは……ちょっと残念ね」と言われ、先生からも叱責を受けるという話だった。
そのせいでお母さん自身も「うちの子は出来ない子だ」と思い込んでいた。

そんな話をしながらある記事を思い出した。
3つのカイワレ大根の話。カイワレ大根の種を同じ数だけ蒔き、朝、昼、晩の3回、毎日決まった時間に1分間、それぞれ別の言葉をかける。

1つ目は無言
2つ目は「バカ」など否定的な言葉
3つ目は「ありがとう」など肯定的な言葉

1週間後……
1つ目の話しかけてもらえなかったカイワレ大根は4割が発芽しなかった。成長が悪く、元気がない。味も辛味、苦みが強く触感も硬くて美味しくない。
他の2つは成長速度は同じだが、バカなどの嫌な言葉を浴びながら育ったカイワレ大根は味がピリピリして辛く、おいしくなかった。もちろん3つ目のカイワレ大根は最もよく発育し、味は辛味が少なく、さわやかでおいしかった。
そんな記事だった。

少し迷ったが、前述したバレエのお母さんに話をしてみた。
「○○ちゃんの披露してくれた技は、そう簡単に誰もが出来る技ではないですよ! ○○ちゃんは決して残念な子ではないと思います。すごく出来る子だと思います!」

お母さんはホッとした表情を浮かべながら喜んでくださった。
自分の子だけが出来ない環境で、ただでさえ自信をなくしそうな環境に於いて保護者や先生にまで心無い言葉を言われると心が折れそうになる気持ちはすごくわかる。
すごく素直なそのお母さんは「私も出来ない子だと思い込んでいたので、私の声掛けも悪かったかもしれないです。改善してみます」とおっしゃって笑顔でお別れしました。

人の性格は周りの環境で築かれていくと言う話を聞いたことがある。
生まれつきが5割、親の影響が0.6~0.8割、残り4割は環境だという研究結果があるそうだ。

わたし自身、今までの人生を振り返ってみると納得する部分が多くある。
周りの影響、つまりその人が浴びる言葉が人となりを作るとも言えるのではないだろうか。

人間はどうしても否定的な言葉を記憶に残しやすいという性質があるらしい。
自分に向けられた言葉ならなおさらだ。きっと誰もが思い当たる節があると思う。
それならば、否定的な言葉を浴びにくく、肯定的な言葉を浴びられる環境に自分の身をおいてみてはどうだろうか。

自分が発する言葉は自分自身が一番たくさん聞いている。
当たり前のことだが、とても見落としがちなことだと思う。

自分が肯定的な言葉を発しても否定的な言葉を発しても、それを一番聞いているのは自分自身なのだ。そう思うと、出来る限り肯定的な言葉を発して生きたいと思う。

人と関わるときに出来るだけ肯定的な言葉を発する。
自分も出来るだけ肯定的な言葉を浴びられる環境に身を置く。

この2つを心掛けたことで、わたしの人生が変化したように感じている。

言葉はくすりにも毒にもなり得る。

まさにサプリメントと同じではないだろうか。
サプリメントを採ることで体によい変化を与えられることもあれば、逆に組み合わせを間違えると害になったりもする。
ほとんどの人が何気なく採っているが、良い効果も悪い効果も与えうる。
誰かが発した何気ない言葉が忘れられず眠れなくなったり、感動して涙が出たり、相手の人生を変えたりもする。
言葉以上に何気なく使っているにも関わらず強いパワーをもっているものが身近にあるだろうか。

ライティングを勉強したい、と思った動機は多々あるが、その中の一つが言葉のもつ力を最大限に生かしたいと思ったからだ。
たくさんの良い情報を持っていても伝え方で伝わり方が変わり、受け取り方が変わる。
わたしの持つ想いを最大限生かして発信していきたい。

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