ホルムズ海峡・タンカー攻撃の真相を追う!
不可解極まるタンカー攻撃
ホルムズ海峡のタンカー攻撃は、不可解な点が多過ぎます。
・まるで攻撃が起こることを知っていたかのようなアメリカの恐ろしく速い反応・発表
・米大統領・国務長官・国連代理大使・国防長官代行の続けざまのイランの名指し批判
・イラン側の完全否定
・タンカーの運航会社である国華産業の社長は、2回目の攻撃で、「船員が『飛来物を見た』と言っている」とし、魚雷(&吸着型機雷)による攻撃との見方は「考えられない」と発言(米公表の映像未確認段階)
・現地午前6時ごろに1回目の爆発、社長は2回目はそれから2~3時間後と発言。米中央軍は、それから9時間後にイラン革命防衛隊が、不発機雷を回収との映像を公開。遅くとも午後6時頃までに起こった出来事のはずだが、トランプ大統領は、夜間に行なわれたと発言(してしまう)
・1~2ノットで曳航される攻撃を受けたタンカーには、米艦船が並走しているのに、近づいて不発機雷を回収できるのか?
イラク戦争と同じ
現状を見ていくと、アメリカが大量破壊兵器を持っていると難癖をつけて始めた、イラク戦争と同じ状況になっています。イラン革命防衛隊が、不発機雷を回収したとの映像は、あまりにも不鮮明で、意図的にカットされ、まるでレーダー照射問題時の韓国の難癖映像レベルです。今回は、オールドメディアでさえ、映像を疑問視し始めています。
本当の犯人は?
イランの革命防衛隊が犯人とする説は、安倍総理とハメネイ師との会談に合わせた犯行は、ハメネイ氏を敬愛する革命防衛隊にとって、師の顔に泥を塗ることに等しいので、辻褄が合いません。
かといって、アメリカが(裏から)主体的にやったにしては、発表がドタバタで、不可解な点が多い。アメリカが主役なら、もっとスマートな流れの演出になっていたでしょう。
軍経験がなく、政治経験も浅いシャナハン国防長官代行の「(イラク犯行説で)国際的な合意形成を進展させる必要がある」との発言は、このストーリーでなんとか押し切りたいと言っているようなものです。
そこで、イランの核開発を一番の脅威に感じているのはと考えると、アメリカ・トランプ政権が逆らえない国が思い浮かびます(やったとしても、裏からでしょうが)。トランプ大統領の再選にも、絶対的な支持が必要な国です。そう、1年前に、在米大使館を移転させた国です。
仮定すると、全て辻褄が合う
こう考えると、米政権の矢継ぎ早のイラン非難、安倍総理に対する『Shinzo、今回だけは、友情には応えられないよ』といったトランプ大統領の対応等、すべて辻褄が合います。
今回の安倍総理のイラン訪問は、まずイラン外相が来日、その後トランプ大統領の訪日。ここで総理は、抜き差しならない状況を知る。アメリカ(トランプ大統領)は、やらなければならない状況 だと。そうなると、中東の安定と、日本のエネルギー・セキュリティ最大の危機です。何とか回避できないかとの必死の想いでのイラン訪問だったでしょう。
しかし、それでは困る(今回、イランの核の芽を完全に摘んでしまいたい)国は、警告の意味を込めて「直接日本とは分からないような、日本に関わるタンカーを」攻撃。
彼の国では、そんな情報収集は朝飯前です。安倍総理が必死に頑張って、イランから「核開発はしません」という発言を引き出しても、それは、北朝鮮と同じことと彼の国は解っています。
以上は、公開情報からの推測ですが、外交専門家も早い段階で、イスラエルとサウジアラビアの可能性を指摘しています。
イランは、「 アメリカとその中東の同盟国は、戦争をあおる行為はやめ、自作自演の行為に終止符を打つべきだ」と非難しています。
今後の世界情勢と、日本が取るべき道
イランの核ミサイル開発と、北朝鮮の核ミサイル開発は、実は繋がっています。また、イランに限定されませんが、石油売買の決済の基軸通貨としてのドル(米)対 人民元(中)の覇権争いも、複雑に絡み合っています。
ただ、アメリカ が イランと本格的に事を構えるとなると、二正面作戦はできないので、米の対中強硬姿勢は、一旦休戦となる可能性が高くなります(現在、大阪のG20で米中会談をやるかどうか、米中でせめぎ合い中)。現に、6月4日の天安門事件30周年に合わせて行われる予定だったペンス副大統領の人権問題を中心とする対中非難演説が延期されています(今のところ6月24日の予定)。
今回、安倍総理は、日本と世界の平和と安全の為に、やむにやまれぬ思いで、和平仲介に乗り出しましたが、逆に恫喝・利用されてしまいました。残念ですが、ここまで来てしまったら、日本政府はこれ以上手出しせず、自国経済を守る為に、消費増税を凍結すべきです。
米は、当面 対イランを優先するかもしれませんが、長期的には中国との覇権争いが続き、貿易戦争も終結する見通しはありません。イギリスのブレクジットあり、かつ、中東での火種ありで、国際経済が上向く要素は皆無に等しいです。経済が下振れするのは、火を見るより明らかなのに、リーマンショック級の言い訳の到来を待つのは、愚の骨頂です。
7月21日選挙とすれば、6月19日の党首討論後、G20前の 6月21~26日が、安倍総理が消費増税凍結を宣言し、衆議院を解散して衆参同日選を打てる日本経済の運命の期間となります。
6月17日
公の場で発言する人の中で、日米政府・世界各国のインテリジェンスとも情報交換をし、最も裏取りされた情報を持つ青山繁晴参議院議員の今回の見立ては、どのようなものか。
青山氏の現時点での結論は、『イラン説』『アメリカ説』今のところ、どちらとも判断できないとのことでした。
シャナハン国防長官代行の上記の発言は、特に日本に対して、イギリスもサウジアラビアもイラン説で同意してるんだから「イエスと言え」と言っているのに等しいとの見立て。これに対して、日本政府(安倍総理)は、裏付け証拠が足りないと、更なる証拠を要求し、同意していません。安倍総理は、トランプ大統領との電話会談でも、同様の話をしたそうです。
日本政府・安倍総理の要求はまさに正当ですが、ジャイアン・アメリカに対しての要求ですから、勇気ある対応ではありますが、大変恐ろしいことです。安倍・トランプの信頼関係があってこその対応と思いますが、穏便に済むことを願っています。
また、裏を返せば、政府の親分アメリカへの敢えての証拠提出要求は、政府がアメリカの言い分に納得していない証左です。
アメリカ・トランプ政権とイスラエル・ネタニヤフ政権は蜜月です。トランプ大統領は就任後、今までの大統領が二の足を踏んでいた在イスラエル大使館のエルサレム移転や、ゴラン高原のイスラエルの主権を承認しています。
来年(2020年)の米大統領選を前にして、今回のタンカー攻撃が、ベトナム戦争の引き金となった「トンキン湾事件」(アメリカの自作自演)にならないことを願うばかりです。
安倍総理も、そのことを踏まえた上で、日本国として慎重な対応をされているのだと推察します。
青山氏が指摘するイランの不審な動き:安倍首相のイラン訪問が決まると、通常、ホルムズ海峡封鎖訓練をしているイランの革命防衛隊の船が、秘密軍港から一斉に、ペルシャ湾に展開する動きがあった(日本の独自情報)。安倍首相は、この動きも知っていながら、政府内からの諫言も振り切って、火中の栗を拾いに行った。
青山氏が指摘するアメリカの不審な動き:タンカー乗組員を救助した米第五艦隊の動きが、通常より早すぎる(知っていたかのように)。ポンペイを国務長官の発表&イラン非難も早すぎる。
6月18日
アメリカが、「イラン犯行説」を裏付けるとする新たな証拠写真を公開しました。
https://www.afpbb.com/articles/-/3230463?pid=21381224
アメリカは、この新たな証拠の公開と共に、米兵1000人の中東への追加派兵を発表しました。
6月19日
トランプ大統領当選を予測した国際政治学者・藤井厳喜氏の見立て:イランは、核開発したいのが本音。米国・イラン(穏健派のロウハニ大統領)ともトップ同士は、戦争したくないのが本音。ただ、その下のボルトン米補佐官や、イランの革命防衛隊は、和平を望んでいない。実行犯は、イラン革命防衛隊(もしくはその一部)。イランの国軍は、乗組員の救助や、消火活動も行なっていた。
軍事に詳しい井上和彦氏は、吸着機雷は通常、船の喫水の下に着けてリモート爆破させて船を沈めるものと指摘。
両氏の話から推測すると、実行犯は和平を望まない革命防衛隊(宗教指導者ハメネイ師直轄の軍隊で、実効はその一部かも)で、吸着機雷を喫水の上に付けたのは、脅し・警告の為か。
6月20日
真打登場です。自衛隊出身で、政権内にいる佐藤正久外務副大臣。
ホルムズ海峡は、水深が浅いので、潜水艦の航行は不可能。陸から船舶に対する攻撃も、距離があるので難しい。残りは、吸着機雷か、船からの砲撃だが、跡を見れば、吸着機雷。
実行犯に関しては、日本は情報収集中(対イラン関係があるので、政府見解)、米国は、イラン革命防衛隊犯行説に自信。米国は、5月からのイラク米大使館近辺への砲撃、サウジアラビアのパイプラインへのフーシ派(イランがバックで支援)の攻撃、4隻のタンカー攻撃などの流れの中で、今回の事案を判断。
動いているタンカーに、ダイバーを送り込んで吸着機雷を着けたり回収したりするのは、ハイレベルな能力。喫水より上に着けたのは、自分たちの攻撃能力を見せつけるため。
イランは、ハメネイ師も含め、圧倒的軍事力の差がある米国との戦争を望んでいない。イラン首脳は、戦争を避けようとするトランプ大統領と、イランを敵視し、米国にイラン攻撃を仕掛けさせようとする『チームB』(名前にBが付く、ボルトン大統領補佐官、イスラエルのネタニヤフ首相、サウジアラビアのムハンマド・ビン・サルマン皇太子、UAEのムハンマド・ビン・ザイド皇太子)を、分けて考えている。
イランは、実際に核を持つというよりは、何時でも核を作れる能力を持つことに、安全保障上の重きを置いている。
アメリカのレッドラインは、サウジ・UAE・オマーンなどにある米軍基地に届くミサイル(1300㎞)&イスラエルに届くミサイル(2000㎞)をイランが保持すること。
7月30日
航空自衛隊の元空将、織田邦男氏の解説(米提案のホルムズ海峡有志連合に、日本も参加すべきという認識を示す中でのタンカー攻撃に関する話。)
「基本的に、アメリカ(トランプ大統領)、イラン(ハメネイ師・ロウハニ大統領)共に戦争を考えていない。
ただ、ハメネイ師直轄のイラン革命防衛隊のシビリアンコントロール(文民統制)がとれていない可能性を指摘。タンカー攻撃も、イラン革命防衛隊の暴走の可能性。
アメリカとイランに戦争をさせたがっている何者かの集団・組織がある。イラン革命防衛隊もそういう所があると見ていいんじゃないか。それは、イスラエルかもしれないが・・。」
2020年1月時点での見解
〔青山繁晴氏〕安倍首相のイラン訪問が決まると、通常、ホルムズ海峡封鎖訓練をしているイランの革命防衛隊の船が、秘密軍港から一斉に、ペルシャ湾に展開する動き
〔藤井厳喜氏〕イランの革命防衛隊は、和平を望んでいない。
〔織田邦男氏〕ハメネイ師直轄のイラン革命防衛隊のシビリアンコントロール(文民統制)がとれていない可能性を指摘。タンカー攻撃も、イラン革命防衛隊の暴走の可能性。
イランには、正規軍と革命防衛隊の2つの組織があり、それぞれに陸・海・空の軍隊を持っています。
革命防衛隊の海軍は、主にペルシャ湾の島や湾岸沿いに多数の基地を持っていて、湾の防衛や警備を行なっています。また高速戦闘艇を100隻以上保有していることなどから、アメリカ発表の証拠及び上記3氏の見解を勘案すると、今回のタンカー攻撃の実行は、イラン革命防衛隊によるものと考えるのが最も妥当でしょう。
シビリアンコントロールが取れていなかった可能性は大。
日本は、米国および独自情報から、革命防衛隊が実行犯であると踏んでいたものの イランとの関係の悪化を避けるために、断定を避けたと推測されます。
最後まで読んで頂き、ありがとうございます!