『BeRealやTikTokを超えてアメリカで1位の新生SNS「Gas」から見る次世代Earnの設計思想』~【新しいweb3ビジネスのアイディアのタネ】2022.10.28
■友人に賛辞を送るSNSアプリ「Gas」…アメリカのApp Storeで1位に
Earnできるわけでもありません。インフルエンサーになれるわけでもありません。でも以前ご紹介したBeRealや、SNSの代表TikTokを抜いてアメリカのAppStoreでダウンロード数1位となったサービス「Gas」をご紹介します。
※このニュースは過去の「Gas」の経緯をある程度知っている人向けに書かれていて若干ノイジーです。突然「人身売買」と書かれていて驚きますが、そのへんのクダリは脳内で最後の方に移動させて読んだ方がすんなり腹落ちするんじゃないかと思います。
■存在価値を認め自己肯定感を高めるPurposeサービス
ここでいう承認欲求とは功名心のようなものではないようです。
Purpose、存在価値、自己肯定感というような意味合いだと捉えた方があっている気がします。
金銭欲求や社会的ポジションを高める欲求とは違う、仲間内の関係性の中での自分の存在意義を大切にすることを、建前ではなく本音として思っているということの現れなのかもしれません。
■仲間内だけで楽しむ安心感
BeRealと同じく、広く公衆に向けて投稿するのではなく、連絡先や位置情報などリアルなつながりの中だけでコミュニケーションするサービスになっています。
これも功名心的な承認欲求ではないことの現れです。もしくはパブリックSNSは緊張を強いられる場所で、仲間内だけのSNSは本来の自分でいられる場所、だから「友達に賛辞を送る」というちょっと照れくさいこともできるということなのでしょう。
■生まれながらパブリックSNSの戦場にいる緊張感からの解放
生まれながらにしてパブリックSNSの緊張感に晒されて生きているZ世代にとって、心理的安全性はとても重要性が高まっていると感じます。
パブリックSNSでのサバイブ方法を身に着けつつも、常に戦場にいるような状態です。半分はTikTokやInstagramを楽しみながら、半分は強い緊張感を感じている。長時間スマホでSNSにダイブしっぱなしで10年過ごしている世代にとって緊張感から解き放たれるサービスは渇望されるものです。
そのためDMの機能をなくしたり、危険な応用ができないようにすることを徹底しています。他サービスや前身のサービスからの反省を活かし、安全側に純度高く振り切ったことが流行した理由のひとつです。
■to Earnを「お金の呪縛から離れられる」設計思想へ
もちろん社会的な功名心やお金に興味がないわけではありません。しかし建前として社会正義を訴え本音ではお金が欲しい、という昔の人の発想とは逆転していると感じます。
つまり社会生活を営みキャリアを高めるために建前ではきちんとポジションを高め一定の報酬を得ようとするのですが、本音は自分の居場所が仲間の中できちんとあることの方が大事だと思っているということだろうと思います。
to EarnやDeFiなどお金で動機付けされるものを嫌うかというとそうではありません。「Play to Earn=ゲームするとお金が稼げる」が受け入れられたのは、お金が稼げることそのものが魅力だと感じたのではなく、お金の呪縛から逃れられそうなところに魅力を感じたのかもしれません。
FIREブームもそう。フリーランスや副業トレンドもそう。お金から離れるためにお金を得られそうなものだから流行る。またはお金や社会=Social Mediaから離れられそうなものが流行る。
だとしたらEarn系サービスの設計思想は「稼げる」かどうかに重点を置くのではなくお金や社会的地位を高めることを意識しなくて済む場所づくりと捉えた方が受け入れられやすそうです。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?