『便利なSuicaがあるのに、今さらQRコード?ブロックチェーンを使えばさらに拡張可能』~【新しいweb3ビジネスのアイディアのタネ】2023.2.15
■世界有数に便利なSuicaがあるのになぜ…JR東日本がわざわざ「QRコード乗車券」を導入する本当の狙い
プレジデントオンラインの2022年下半期BEST5の記事ですが、Googleがオススメしたニュースの中でも興味深かったので取り上げます。
地方によって呼び名は異なりますが、タッチで乗車できるSuicaのようなIC乗車券があるのに、JRはなぜQRコードをスキャンさせるスタイルに変更しようとしているのか?
記事の筆者は1.駅でなくても買える、2.大幅なコストダウンの2点をまず挙げ、最後に3.相互運用性を挙げています。
便利なSuicaがあるのに、今さらQRコード?な理由
非常に整理されて分かりやすい記事なので全文を是非読んでいただくことをお勧めしますが、要約すると
1.駅でなくても買える
・磁気キップやICカードに乗車券データを書き込む装置が設置できる駅か旅行代理店でしかキップを販売できない課題を解決し販路を拡大したい。
2.大幅なコストダウン
・磁気キップは特殊インクのせいで産業廃棄物。券詰まりを起こす改札はメンテコストがかかる上、IC読み取り型改札より桁違いに高い。しかしすべてIC化すると乗車できない人が生まれ磁気型を全廃できない。
・SuicaなどIC読み取り型改札もシステム全体では地方に導入できるほど安価にならない。
・Suicaシステムのコスト高の原因は4つの大きなシステムが連携する巨大さだった↓
これをクラウドに統合してコストダウンの道筋が見えたが、その結果、乗車時の「券」にはID情報だけがあればよくなり、ICでもQRでもどちらでもよくなった。
3.相互運用性
・「券」にID情報しか記録しないのであれば、IDの有効性だけ確認すれば、新幹線と在来線、JRと私鉄でもIDを共通利用したサービスが作れるようになる↓
上記に若干触れられていますが、券IDを共通利用すれば、交通手段だけに留まらず旅先の飲食店やお土産物店、宿などでも共通利用する拡張が可能になります。
その際、QRコードにすればユーザーがお店で提示する方法は印刷でもスマホの画面に表示でもよくなり、お店側も簡易には手元のスマホでQRコードを写真アプリで読み取るだけで手続きすることもできるようになります。
専用アプリや専用読み取り装置が不要になるのがQRコードの利点です。
■提案:ブロックチェーンに券IDを持ちQRコードで認証するオープンチケット化
JRが便利なSuicaをやめてQRコード乗車券に移行しようとしている動機や狙う効果はよく理解できました。
しかしこのシステム構成だと、券IDが記録されているサーバがJRの管理する所有物であり、許可を得ないと自由に第三者が参照することができません。
つまりJR集権型システムとなります。
この部分を改ざん不可能で誰でも参照可能なパブリックブロックチェーンを使うようにすると、非中央集権型システムにすることができるはずです。
誰でも券IDを参照できるようになれば「JRの乗車券を持っているとサービスが受けられます」というキャンペーンを第三者が自由に作ることができるようになります。
券IDはJR以外の人も発行できるようになります。
「プロ野球の観戦チケットを持っている人はうちのスポーツバーで1杯無料」も、スポーツバー側の自由な企画で実現できるようになります。
チケットにあたる部分もいわゆる入場券的なものに留める必要はありません。NFTの所有でも、モノの購入者でも、発行された日時や現在の所有者などが確認できれば何でも活用できます。
ブロックチェーンに刻まれた情報を参照する部分は課題です。
MetaMaskなどウォレットを使うのはハードルが高いので、ブロックチェーンに書かれた現在の所有者情報と利用者の情報が合致しているかどうかだけをQRコードの読み取りで確認できる、ウォレット不要&QRコード化のシステムが必要そうです。
JRの脱Suica発想・QRチケット化の発想を広げて、何のチケットやIDでも第三者が利活用できるブロックチェーンを活用したオープンチケット化には暗号資産は特に必要としませんしユーザーにブロックチェーンの知識も不要です。NFTの強力なユーティリティにもなります。
web3の社会実装はオープンチケット化から来る、のかもしれません。
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