見出し画像

『スナップチャット、「無料SNS+広告」の次は「マイAI+課金」』~【新しいweb3ビジネスのアイディアのタネ】2023.9.12


■スナップチャット、「無料SNS+広告」の次示すか

コロナ禍以降、米国を筆頭に広告市場が大きく打撃を受け、広告モデルに頼ってきた各社は「無料SNS+広告」という方程式に代わる新たな収益源やトレンドをつかもうと躍起になっている。
(中略)
そんな中、目をひく動きが起きている。若者を中心に人気がある米国のSNSアプリ「スナップチャット」の変身だ。ひょっとすると「広告後」のSNSの姿を示すものとなるかもしれない。

「無料SNS+広告」のビジネスモデルが崩れ始めて以降、広告だけに頼らない新しいビジネスモデルを模索していたSNS業界。

米国で人気のSNS「スナップチャット」が見つけた新しいビジネスモデルは「AI+課金」だったという記事です。

Twitter Blue(「X」になった今でも商品名はTwitter Blueです)やMeta認証など、SNS+サブスク課金は試されなかったわけではありませんが、多くの人にとって課金するメリットが感じられないのに高額なため加入者は一部に留まります。

そんな中スナップチャットが採ったのは、アバターやアイコンの姿を通じて友だちの一人として扱う「マイAI」をはじめとしたアイディア機能への月額課金でした。


SNSの相手が「マイAI」

SNSはリアルな人とのコミュニケーションのためのツールです。そこはスナップチャットも変わりません。

結果として、課金版のプラスはスタートして2か月で200万人、さらに1年で400万人に達した。日本版の提供は未定だ。世界約20カ国・地域で無料版を含めた月間利用者総数は7億5000万人と発表されており、プラスの比率が十分に高いとまでは言えないが、期待は高まる。

月間利用者総数が7億5000万人もいて、「マイAI」を使う課金ユーザーは400万人に留まりますから、やはりコミュニケーション相手の中心は人間です。

しかしながら、AIを検索や入力の補助ツールとするのではなく、SNSの中心的な価値である「コミュニケーション相手」に位置付けた機能を提供したのは画期的です。

今では広く知られているチャットGPTと他愛もないメッセージのやり取りができる以上のものではないが、友だちとのコミュニケーションに悩むことの多い若者にとっては、必須の機能だったのかもしれない。実際、マイAIを検索として使うのではなく、アバターやアイコンの姿を通じて友だちの一人として扱うよう工夫されている。

たんなるチャットボットとの会話を楽しむ機能を超えて、「アバターやアイコンの姿を通じて友だちの一人として扱うように工夫されている」ことが重要です。


AIで「友だちをつくる」

ChatGPTもだんだん表現力が上がり、人間と会話していると錯覚するレベルになるだろうと思います。

キャラクター設定どおりに会話や相談ができるようにする実験も多数行われています。

専門家のキャラクターをたくさん用意すれば、弁護士に法律相談、カウンセラーに悩み相談、進路指導の先生に受験の相談など、相談相手に事欠きません。相手がAIだとわかっていれば恥ずかしさもなく気軽に相談できます。

実在しない「推し」との会話も楽しめますし、同じ「推し」を推す「友だち」との会話も楽しめます。

同じ趣味の仲間と出会いやすいのがSNSの特徴でもありましたが、「マイAI」で同じ趣味の仲間を「つくる」ことも可能になりつつあります。

「友だちをつくる」とは文字通り、友だちをAIでbuildすることも含むようになるかもしれません。


人間にAIを混ぜて虚しさをなくす

AIとのチャットのみを提供するサービスだと本能的な気持ち悪さを感じるかもしれません。「AI恋人」を虚しいと思う人は多いでしょうし、大げさに社会悪だと唱える人もいるでしょう。

スナップチャットは人間同士のコミュニケーションを中心に据えつつも、「アバターやアイコンの姿を通じて友だちの一人として扱うように工夫されている」という混ぜ方で、虚しさを感じづらくさせています。


400万人×4ドル=毎月23.5億円

「マイAI」が受け入れられた証左として、スナップチャットでは400万人が毎月4ドル払うまでになっています。毎月1600万ドル、=23億4400万円が毎月入ってくるわけです。1年間に直すと281億4000万円です。総ユーザー7億5000万人のうち課金ユーザーは400万人、0.5%の課金転換率はまだ伸びしろがあるとも言えます。

AIを補助機能ではなく「友だち」に据え、その「友だち」とのコミュニケーションを楽しんだり、少し精神的な距離を取って「育成」するような楽しみ方のSNSは、AIの進化と課金モデルとセットで今後広まっていきそうです。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?