『Makuakeが収益性急悪化。web3やNFTの未来を占う相似性』~【新しいweb3ビジネスのアイディアのタネ】2022.10.1
■クラウドファンディングのMakuakeが方針転換で収益性急悪化
クラウドファンディング事業のMakuakeの収益が急激に悪化している、というニュースです。
Makuakeに限った話ではありません。記事中にも出てきますがCAMPFIREも大きな損失を出しています。
収益悪化の事情はそれぞれかもしれませんが、
クラウドファンディングを通じた支援総額全体が大きく減少しているとのこと。
NFTはクラウドファンディングの集金機能として使われるケースも多くあります。収益性悪化の原因を知ることはNFTプロジェクトの参考になりそうです。
■クラウドファンディングのビジネスモデル
クラウドファンディング「プラットフォーム」のビジネスモデルなのでNFTプロジェクト単体でクラウドファンディング的に支援を集めるのとは異なりますが、支援内容への共感で購入者を募り、流通取引総額を大きくすることで収益化するという点においては共通です。
審査基準を厳しくする方針転換とは
つまりクラウドファンディング、支援とは名ばかり、新規性のない商品の海外EC通販になっていたことを改めようとしたわけです。
最近の物販系クラウドファンディングは、支援したい!という強い思いで資金提供するというより新しくて見たことがない珍しい商品が買えるECサイトとして売り上げを伸ばしてきたのが実情です。
コロナ禍で一時的に「本気で支援」を求める飲食店などの利用が入りましたが、それも今は一服。
支援目的でないことは100歩譲ったとしても「アタラシイ」商品でなければ「怪しくて保証のない無名メーカー」の商品でしかない状態になっています。
一見このルール変更は正しそうに見えますが、結果的に大きく収益を減らしてしまいました。
NFTプロジェクトに例えると、プロジェクトに共感してくれた人・Discordでしっかりプロモーションを支援してくれた人にだけNFTを買ってもらいたい、とピュアにやったら投機マネーが入ってこなくなった、みたいな感じでしょうか。
やりすぎてはいけませんが、海外通販では売っていても一般には珍しい商品を発見するのはクラウドファンディングのひとつの楽しみでもあります。私も以前「Wish」という海外通販で怪しい商品を安く買うことにハマっていた時期があります。謎商品買いって面白いんですよね。
NFTの投機性も、そこだけに注目されてはいけませんが、楽しみや魅力のひとつではあります。
何事もバランスは大事。
■流通取引総額の増加につながらない人件費増加が痛手に
審査基準を上げれば、基準に合致しているかの審査項目が増えたり、是正のための出展社との調整などに人手がかかるようになります。
これを先行投資と位置付けているので、プロジェクトの純度を高めていくことが長期的にはクラウドファンディングのブランド価値を向上させ収益アップに寄与するとおいう発想なのだろうと思います。
しかし冒頭に「流通取引総額をできるだけ大きくすることが事業拡大の最大のポイント」と著した通り、
と評価されています。
良質なプロジェクトに厳選して、クラウドファンディング自体の価値を高め、競合他社より選ばれる環境を作る。これは一見して正しそうに見えますが、もはや既に購入型クラウドファンディングは面白ECだと認知されているということだろうと思います。
■NFTプロジェクトの信念と収益のバランス
NFTプロジェクトも、社会問題の解決や新しい民主主義の実現のためのツールとして期待される部分はありつつ、しかし世間一般でニュースになるのは「JPEG1枚が75億円!?」なのです。
こういう実情は冷静に見ながら、信念に共感してくれる人と投機的に期待する人をうまくまとめていくことが必要になってきていると感じます。
web3やNFT、DAOに魅力を感じるのはお金じゃない、金臭いのは嫌いだ、という人はとても多いと思います。金臭いプロジェクトはweb3の技術を借りたWeb2的発想で古臭くも見えますし。
純粋におもしろくて他で買えない独創的な商品が「お金が集まったら開発できるんです!」で開発されていく購入型クラウドファンディングの理想形は、一定必要だと思います。
しかしビジネス規模が一度大きくなった後は売り上げを下げると「業績悪化」と言われるし、上場企業なら株価が下がります。許されない状況に取り囲まれています。
■web3の理想との相似性、これからどうなる?
莫大な収益をプラットフォーム1社が上げ続けることへのカウンターカルチャーという側面もweb3にはあると思います。もしMakuakeがDAOだったら、収益を追わず理想を追う決定もできるかもしれません。もしガバナンス投票でそれが通るなら、理想を追いたいファンが人数として多いということですから。
クラウドファンディング本来の社会性イメージと、web3やNFTの民主化の思想性、そして逆に購入型クラファンを株式会社がプラットフォームとして運営し売り上げ成長を株主から要求されることと、NFTが投機マネーで成立していること。非常に似ています。
Makuakeがこれからどのようにバランスを整えていくのか、市場からどう評価されていくのかは、これからweb3、NFTが市場からどう評価されていくのかを相似的に表すような気がします。できれば理想を追求したことが評価されてほしい。バランスは大事なので何度か揺り戻しがありつつ、理想側に進んでいくことを期待しています。
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