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『今夏リリース予定の睡眠アプリ『ポケモン スリープ』を、稼がせないSleep to Earn視点で読み解く』~【新しいweb3ビジネスのアイディアのタネ】2023.3.2

■睡眠アプリ『ポケモン スリープ』この夏配信。ポケモンGO Plus+は7月14日発売

株式会社ポケモンが、スマートフォンアプリ Pokémon Sleep (ポケモン スリープ)を2023年夏に配信することを発表しました。
ポケモン スリープは「朝、起きることが楽しくなるゲーム」。2019年に初発表された際は2020年予定でしたが、ついに配信を迎えることになります。

web3なブロックチェーンゲームではSleepagotchやSleefiなど「寝て稼ぐ」ゲームがありますが、この『ポケモン スリープ』は寝ても稼げるわけではありません

しかし設計の多くの部分が似ています。

「稼げる」をフックにマーケティングを行うか、ポケモンという超有名IPをフックにマーケティングを行うかの差はあれど、Sleepagotchのことも研究されたのではないかと思います。


『ポケモン スリープの概要』

基本的な遊び方は毎晩眠るだけ。「いねむりポケモンのカビゴンでポケモンの睡眠を研究するネロリ博士をプレーヤーが手伝う」設定になっており、睡眠データによってさまざまな眠りのパターンに応じたポケモンが現れたり、「寝相」を収集できます。

基本寝るだけ。朝起きてアプリを見ると、眠りのパターンによってポケモンや「寝相」が収集できます。

うとうと、すやすや、ぐっすりという分類で異なる種類のポケモンがゲットできるようです。

https://www.techno-edge.net/article/2023/02/28/932.htmlより引用

ポケモンスリープと連動するアクセサリ、アクセサリ Pokémon Go Plus+(ポケモンGOプラスプラス)についても詳細が明らかになりました。
GOプラスプラスは眠る前にボタンを押すことで睡眠を計測できるほか、ポケモンGOでも使えるデバイス。

睡眠計測専用のデバイスも別売されます。ポケモンGO Plus+ の発売は7月14日、価格は6578円。現在予約受付中です。

ポケモンの寝顔収集を通じて睡眠データの計測・記録・分析の習慣につながるほか、ポケモンGOでも睡眠データを使った要素の導入を予定しています。

『ポケモン スリープ』単体でも寝てポケモンを集める遊び方ができますが、ポケモンGOとの連携機能も用意されるようです。

寝ている間にポケモンGOの方のポケモンが成長したり、『ポケモン スリープ』で獲得したポケモンが使えたりするのでしょうか。楽しみ方が多いのは魅力的です。


Sleepagotchとの共通点と相違点

共通点

・睡眠をゲームに仕立てたテーマ性
・基本、寝るだけの遊び方
・睡眠データを記録する
・睡眠データに応じて何かもらえる
・外部デバイスと連携して睡眠データを記録できる
・規則的な睡眠習慣で健康になることを大儀としている

Sleepagotch以外のSleep to Earn系サービスもだいたい同じです。

そして勝手な推測ですが、取得した睡眠データを統計などに使うつもりがあまりなさそう、というのも『ポケモン スリープ』も含めて共通なのではないかと思います。

データを売ってマネタイズしたり、建前以上に睡眠での健康を促したいと考えているわけではなく、「寝る」をゲームにすると面白いよね、楽だよね、が発端じゃないかと思います。

相違点

・睡眠で獲得できるものが売れるか、売れないか

が最も大きな違いです。

『ポケモン スリープ』ではポケモンや「寝相」が獲得できますが、これらはNFTではありませんしポイント的なものが仮にあったとしても暗号資産・トークンではありません。

純粋にポケモンのIPゲームとして楽しむものです。
課金要素はあると思いますが、GameFiのように収益効率を上げるために課金するわけではなく、ゲームを楽しむための課金なはずです。

Sleepagotchiは、一定の睡眠時間を保つことで、無料のNFTとSHEEPトークンを獲得できるアプリです。
ユーザーは、毎朝1個の無料NFT(よく眠れた場合は2個の無料NFT)を得ることができます。

Sleepagotchは寝てNFTとSHEEPトークンを獲得します。そしてそれらは売却してマネタイズ、つまり稼ぐことができます。

MetaRoomの中には、ベッドやカーペット、ポスターなどのNFTを配置することができ、そのNFTの種類やレアリティによって、毎日稼げるSHEEPトークンやドロップするNFTのレアリティが変わります。
MetaRoom内の各NFTは、マーケットプレイスで他のユーザーと取引することができます。

SleepagotchのNFTは売ることができます。
なぜ売られたNFT買う人がいるかと言えば

NFTアイテムは、レアリティや能力が異なり、同じ睡眠時間でもSHEEPトークンの獲得量が異なります。

SHEEPトークンをより多く稼げるようになるからです。
つまりユーザーが課金する理由は稼ぎを増やすためです。

『ポケモン スリープ』はポケモンを楽しむため。
Sleepagotchは稼ぐため。

というのが最も大きな違いです。
どちらも楽しみ方の違いではありますが、ユーザーが何に期待するのかの大きな違いがあります。


続ける動機が「稼ぐ」以外にあると強い

ポケモンの睡眠ゲームである『ポケモン スリープ』は、ポケモンファンがやる前提で、ゲームがつまらない・飽きた、となるまでは遊ばれます。ポケモンGO Plus+を買ったユーザーは買ったものがもったいなく感じるサンクコストによってより長く遊ばれるはずです。

Sleepagotchは、稼げなくなったらユーザーは離れます。
辞める際にNFTやトークンを売却して手じまいするため、多くの人が一斉に辞めると相場暴落が加速しますので、辞めるつもりがない人も巻き込まれて辞めざるを得なくなります。

本当に睡眠で健康になるだとか、人に自慢できるだとか、見た目がSleepagotchのMetaRoomに見た目が似ている「Bondee」のようにルーム間でメッセージをやり取りしたりコミュニティが作れたりするだとかの「稼げる」以外の要素に注目させられると強い。

つまり、稼ぎ効率に影響を与えない非投資性商品への課金が促されることが重要で、もともとSleep to EarnなGameFiでない『ポケモン スリープ』は非投資性商品への課金率が100%だと捉えることもできます。


有名IPでも面白さは大事、でも難しい

無名なスタートアップがIPの力も借りずに新規サービスを流行らせるのに「稼げる」は非常に強力なキャッチコピーです。しかしユーザーが全員NFTのスペックに応じて等しく稼げるトークノミクスでは「稼ぎ続ける」は難しい。

『ポケモン スリープ』は「稼ぐ」から離脱したゲームであるため、ゲームとしての面白さが重要になります。しかし「面白いゲーム」ほど作るのが難しいものはないのも確かで、ポケモンというIPの力はありつつもビジネス上は当たるも八卦の博打でもあります。

もし『ポケモン スリープ』が「面白いゲーム」として流行したらSleepagotchも学べることがあるでしょう。ポケモン要素が面白いとなるとそのまま真似はできませんが。

稼がない『ポケモン スリープ』がどのように市場に受け入れられるのか、ブロックチェーンゲーム側視点からも楽しみにしています。

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