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『仮想通貨を日常の決済に使うための法改正がアメリカで議論』~【新しいWeb3ビジネスのアイディアのタネ】2022.8.1

■日常的な買い物における仮想通貨の使用を簡素化するための法案がアメリカ上院に提出される

「仮想通貨は日常生活の一部になる可能性があるが、現在の税制がそれを阻んでいる」として、日常的な買い物における仮想通貨の使用を簡素化するため、「Virtual Currency Tax Fairness Act(仮想通貨課税公正法)」法案がアメリカ上院に提出されました。

アメリカの現行法では、仮想通貨を日常の少額決済に使う際にちょっと感覚的に理解できない問題があります。

トゥーミー議員によると、仮想通貨課税公正法は「コーヒーを買うような小さな個人取引を非課税にすることで、アメリカ人がより簡単に仮想通貨を日常の支払い方法として使えるようにするもの」だとのこと。

現行法の下では、仮想通貨を使うたびに課税対象となる事象が発生します。前述の例だと、ある個人が仮想通貨でコーヒーを買った場合、仮想通貨の価値が高まると、取引からキャピタルゲインを得ることができます。

と書かれていますが、仮想通貨を使うと課税される?ピンときますか?

消費税的なものなら理解できます。物品を買うと消費税が上乗せされますよね。けれど仮想通貨を使うと課税されるのは違う理由です。


■仮想通貨を売却したのと同じ扱いになる

https://www.coinbase.com/ja/learn/crypto-basics/understanding-crypto-taxes

↑コインベースのサイトにあるアメリカでの仮想通貨に関する課税ルールをまとめた記事です。(サムネイルが表示されないのでURLママですみません。)
この記事によると

商品やサービスの代金として暗号資産を支払う: 例えばビットコインでピザを購入する場合、そのトランザクションに対して納税義務が生じるでしょう。IRSにしてみれば、暗号資産で支払うのは売却するのとあまり変わりません。商品やサービスと引き換える前に暗号資産を売却する必要があり、売却するとキャピタルゲイン課税の対象になります。

ピザを買うのにビットコインを使うと、ビットコインを売却利確したと見なされるのだそうです。

仮に10ドルで売られているピザを、今日のレートで10ドル分である0.00043 BTCを払うことで手に入れたら、0.00043 BTCを10ドルで売ったのと同じだと見なして確定申告する必要があるということです。

毎日カフェでコーヒーを飲むたびに確定申告用に取引データを記録しておくなんて現実的ではありませんし、コーヒーは飲んで消えてなくなるし、仮にBTCが暴落するとドル建てで利益が出たと見なされて追加で納税しなければならなくなる恐れもあります。


■50ドル未満の取引で課税免除という法案

法案は、50ドル(約6900円)未満の個人取引を行った場合、および個人取引において50ドル未満の利益が出る場合を対象に課税を免除することで、日常の中の取引での仮想通貨利用を簡素化するものです。

免除の仕組みを利用して脱税しようとする悪質業者への対抗策として、法案には「同一取引の一部またはすべての販売または両替」を「1件の販売または両替」として扱う集計ルールが盛り込まれています。

今回の法案では50ドル未満の取引で免税としています。
手始めに、という感じの金額設定ですが、仮想通貨が実際に使える「お金」になるためにはこの金額の上限設定はいつかなくしたいと考えているはずです。

しかし今回の法案も可決しないと見られています。


■PayPayなどの電子決済なら大丈夫なのに

キャッシュレス決済を普及させるためにマイナンバーカードでポイントバックするキャンペーンを国主導で行っている日本では、各事業者からさまざまな「お金っぽいもの」が展開されています。

基本、すべてのサービスでは日本円にペッグされている状態&ブロックチェーン技術は使っておらず中央集権サーバで管理されているというのが特徴で、前払い式決済手段でチャージ式か、クレジットカードや電話料金合算払いなど別の決済手段と紐づけられています。

これらキャッシュレス決済の場合は、モノを買うたびに記帳して年末に確定申告するなんてことは当然ありません。

それどころかポイントバックや100人に1人はタダという博打っぽいキャンペーンもよく打たれているほどです。

それに対して仮想通貨だと取引のすべてを記帳して課税対象となるのは納得しづらい感覚があります。

日本でも地域通貨をファンジブルトークン化しようという動きもありますし、仮想通貨を日常決済に使えるようにするためにはアメリカと同じ法改正が必要になるはずです。


■SBI VCトレードがXRP国際送金サービス「ODL」

ODL(オンデマンド・リクィディティ)はリップル社が提供するXRPベースの決済ソリューション。従来の国際送金では現地通貨を事前に保管しておく必要があるが、仮想通貨XRPをブリッジ通貨として利用することで、送金コストの削減や時間短縮などにつながるとしている。

日常の決済を拡張して考えると、世界共通通貨という考え方につながります。
国際送金にリップルXRPを使い、法定通貨より確実で早く安価に送金できる仕組みがODLです。

貿易決済から個人間輸入、労働対価の支払いなど国際送金の需要はこれからますます拡大します。

受け取ったXRPを日常の決済でそのまま使えるようになればまさしく世界共通通貨に近づきます。

ここまでの展開をイメージした法改正・法整備がなされれば、仮想通貨が実際に使える「お金」になるのだろうと思います。50ドル未満の決済に限定しても法案が通る見込みがまだない現状ではもう少し時間がかかりそうですが。

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