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『Earnの先へ。コミュニティが核になる「SocialFi」』~【新しいWeb3ビジネスのアイディアのタネ】・Web3ニュース2022.6.7

今日はSTEPNの近況を交えながら「to Earn」の未来を考察してみたいと思います。

■GameFiの現在:bearko/ベアコ@GameFiさんのツイートより

↑まず今回のテーマを与えていただいたツイートをご紹介します。
とても明快な分析をされているツイートで感動しました。

現在の「〇〇 to Earn」と呼ばれるゲームを【FT主体】と位置付けており、ユーザーの目的が「Earn=稼ぐ=FTをできるだけ多く獲得する」こととしています。
ここに至るまでのストーリーが非常にわかりやすくまとまっているので是非全文をお読みください。


■現在の【FT主体】Axie InfinityからSTEPNまでの流れ

初代【FT主体】の「Play to Earn」ゲーム、Axie Infinityはポケモン的なモンスターバトルゲームの体裁を取っていますが、ユーザーの主目的はEarnでした。ゲームセンター→コンソールゲーム→スマホゲーム→【NFT主体】の次に出てきた流れから、まだ「ゲーム性を持たさなくては」の意志も感じられる設定になっていることも興味深い点です。

そのAxie Infinityの次に話題をさらったのが、より【FT主体】に振り切っている「Move to Earn」のSTEPN。超シンプルなUIやゲーム性、最短で1日10分歩くだけで済む手間のなさなどEarnの目的化を極めた設計になっています。

実態としてはNFTステーキングDeFiであり、トークンを直接買うことで歩かずにシューズを量産して利益を上げる「ミント工場」に気づいたユーザーが経済圏を破壊してしまい、運営の対応が結果的に後手に回ったこともありトークン相場が暴落してしまいました。

【FT主体】なので相場暴落は即ユーザーの離反を招きます。実際多くのユーザーがSTEPNを引退してしまいました。

ただ、熱烈なSTEPNファン、STEPNの将来性を信じている人、STEPNのおかげで運動習慣がついた人などがたくさん生まれ、未だに多くいるのも事実です。


■Game×Finance=GameFiはスマホゲーム以前との唯一の差分だった

STEPNが贅をそぎ落としてEarnに特化させたのは一種の振り子現象のように感じます。

ゲームはもともと楽しむためにやるものでしたし、これまでもゲームファンやゲームタイトルのファンは大勢生まれていました。「ソシャゲ」という人間関係とゲームの融合もゲーム進化の過程ですでに生まれていました。

従来のゲームとの唯一の差分がファイナンスだったわけで、その差分に最も注目して開発されたのがSTEPNだったと言えます。

いや正確に言うと競馬など公営ギャンブル、事実上の賭博行為であるパチンコ、一応お金をかけていないことになっている麻雀、サッカーのTOTOくじ、どこかで行われているかもしれない野球賭博、海外ではカジノ・オンラインカジノ、ポーカーアプリなど、ゲームがお金と密接な関係になっているものはたくさんあります。

しかしこれらに共通するのがある種の「後ろ暗さ」。娯楽という言い訳をしながらも賭博がメインであることが明白すぎて、「馬が好きで~」と言ったとしてもある種のレッテルを感じざるを得ません。

STEPNは運動という明るいものをテーマにし、肉体労働で対価を得るという正しさっぽいものを想起させることで「稼ぐ」が主目的であるというユーザーの本音をきれいにウォッシュすることに成功しました。人間の精神のバランスを取る言い訳材料を提供する効果もありました。

そして副産物として「上手なお金の稼ぎ方」をゲームの攻略法のように明るく情報交換できるユーザーコミュニティを生み出しました。
あくまでも副産物です。運営チームが意図的にコミュニティが生まれる仕組みを用意したわけではなくユーザーの自発行為によってコミュニティが生まれました。

このコミュニティの存在が、相場が大暴落したSTEPN運営チームにとって唯一の希望になっていると感じます。


■STEPNがEarn特化からコミュニティ型に移行中

↑そんな流れの中でSTEPN運営チームも、コミュニティ軸のマーケティングに改めて移行することを発表しました。

「チームを再構成」と言っている通り当初からコミュニティは重視していて、週1回以上の頻度で行われるAMA(Ask Me Anyting、公開質問会)やDiscordコミュニティ内での情報交換など直接運営の声が聴ける体制に注力していたのは間違いありません。

ただ、UIやトークン設計があまりにもEarnに最適化しすぎていたのは間違いなく、「生活できるレベルで稼げる」という話題性で世界中から安価に大勢のユーザーを獲得しようとしたことも意図的だろうと思います。そうでなければサービスイン初期のシューズの価格を10万円級には設定しません。インパクト重視です。

NFTスニーカーにコミュニティと連動するようなユーティリティが設定されていないなど、運営側にコミュニティを経済設計の中に組み込む意図が薄かったことも明らかだと思います。

STEPN自体が爆発的に人気になったおかげでユーザーの自発的なコミュニティ的な情報発信やつながりが芽生えました。攻略情報や体験記、収益報告、AMAの内容翻訳、シューズや招待コードのプレゼントなど毎日STEPNの情報を出し続ける発信者と、情報を得たいSTEPNファンが生まれました。

昨今のトークン・シューズ相場大暴落もむしろコミュニティの結束を強めている感すらあります。

STEPNのファンコミュニティがいま成立しているのは、皮肉ですが初期に「生活できるレベルで稼げる」という話題性で世界レベルのブームを起こすことに成功したからです。

地味なポイ活程度の収益でMove to Earnを標榜していたら絶対流行っていませんし、STEPNコミュニティも生まれていません。コミュニティには人数と勢いが必要です。


■これからは【コミュニティ主体】のSocialFi。しかし「ニワタマ」の課題も。

STEPNが洗練されすぎたかたちで「to Earn」をやってみせたおかげで、いろんな課題を白日の下に晒しました。

・お金が稼げるという動機付けがいかに強力か。
・いきなり10万円、100万円という大金を投じる人は一定数いること。
・馴染みのない暗号資産・取引所・ウォレットなどのハードルをEarnの魅力で突破させられるということ。

・万単位の初期費では裾野は大きくならないこと。
・初期の爆益はちょっとしたことで数日で崩壊すること。
・ユーザー課金以外のお金が入ってこない設計は崩壊が早いこと。

・崩壊しても投資は自己責任だと思う・思われること。
・話題になれば自発的にユーザーコミュニティができること。
ユーザーコミュニティが運営を信じ支えてくれることが命綱であること。


明白になっていないこと、まだ試されていないこともあります。

・ゲーム設計にあらかじめコミュニティ主体になる仕掛けを入れること。
・コミュニティ主体でマーケティングすることの具体的な方法、効果や是非。
・先に話題性を作らないとコミュニティ自体が生まれないこと。(にわとりたまご=ニワタマ問題)


Earnが強い参加動機・継続動機になるのは間違いないのですが、Earnで初期の話題性を作ろうとするとほぼ確実に暴落のダメージを初期ユーザーに喰らわせてしまいます。これはコミュニティの主役になるであろう人を大切にしない設計で好ましくありません。

STEPNはもうEarnによる話題性で一定数のユーザー獲得に成功してしまったので途中からコミュニティ主体のSocialFiに移行しても参考にすべき前例にはなりません。初期ユーザーを犠牲にするマーケティングは参考にすべきではないからです。

始めからSocialFiを目指す場合の成功テンプレートはまだありません。

すでにファンがいる有名IPや、まだ少数ながら熱烈なファンがいてこれから伸びしろがあるIPのコンテンツにEarnを組み合わせれば初期のEarn規模で驚かさなくてもユーザーが付く可能性はあるかもしれません。

↑CryptoNinjaのブロックチェーンゲーム化が構想レベルから具体的なNFTのファーストセールにまで進捗しました。

CryptoNinjaはそもそもコミュニティを主体としたNFTプロジェクトで熱烈なファンがいます。しかしまだ数千人規模なので裾野広く伸びる可能性はあると感じます。

このように先にコミュニティがあって、あとからブロックチェーンゲーム化に乗り出せばSocialFiの成功例となるかもしれません。

しかしそもそもコミュニティを生み出す最初の一歩に再現性が薄いため、前例とは言えない事例になるのかもしれません。

有名IP、既存IPのファンコミュニティを使わずにゼロからSocialFiを成功させるモデルは「当たるゲームを作る」のと同義だとしたら運要素に依存しすぎなので、やはりGameFiの要素でゼロから集客する魅力を作るのは有効。

あとは極端な収益と極端なダメージ、超短期間の爆益と終焉などの時間軸に改善を加え、きちんとファンコミュニティが立ち上がり育つペースとゲームの普及の足並みをそろえることが重要になりそうです。


■最も身近なコミュニティ創出の例:我が家のSTEPN

GSTが大暴落しているので、直接GSTをUSDCやSOLに交換するかたちで利確するより、少し長期的に原資回収をする方針としました。

その第2弾が「はじめてのシューズミント」です。

今シューズの最低価格は4SOL弱、SOLが5,300円くらいなので1足21,000円くらいです。GSTが80円くらいなので262GSTともいえます。

対してLv5まで育ててある手持ちのシューズ同士でミントすれば200GSTで済むため、ちょっと割安です。

そこで一昨日の夜にはじめてシューズミントしてみました。
Uncommonの期待は0.2秒で吹き飛び、やっぱりCommonのboxでした。


うん、Joggerでよかった。ステは低め。
でもこれで合計4足になりました。

ここから9足を目指す・・・のではなく、

妻に4足のうちの1足を貸し出すことにしました。
これで自分の手元に3足、4エナジーをキープしたまま1足分の収益を追加で得ることができます。

貸し出したのは先ほどミントしたイケてないステータスのものではなく、そこそこよさげなほうです。

まだ24時間のクールダウン時間なので妻は歩いて収益を得ることはできませんが、ひと通りSTEPNの操作説明やエナジー回復時間などの仕組みを説明したところ、さっそく歩きに出てコースチェックやスピードチェックなどをやり始めました。

そして換金・送金の方法やGSTの相場観、明後日のAMAで発表されるであろう大きい仕様変更のことなど、STEPNの話を興味深く会話しました。

最小のSTEPNコミュニティ誕生の瞬間です。

これまでも我が家ではSTEPNの話は結構してきたつもりでしたが、妻自身もSTEPNプレイヤーになり収益を得られる権利を得た瞬間に話がずっと深くなりました。当事者になることで圧倒的なコミュニティへのコミットメントを生み出すことが我が家で証明されました。

そしてやはり、お金が稼げるというのは相当強い魅力であることも改めて確認しました。歩いて健康になる、STEPNをやり始めて運動だけでなく食事も気を付けるようになった、など妻が私に感じていた変化もあったと思いますが、やっぱり「お金」は強いです(笑)

Lv5のJoggerですがステータスポイントをきちんと振ってあげると1回10分で6.6GST稼げるとSTEPN GUIDEで算出されます。今だとざっくり500円。
1カ月30日歩き続ければ1万5000円、崩壊した崩壊したと言われつつも、2万円のシューズを買うだけで1か月1万5000円稼げるという利率の高さはまだ健在です。

※これからGSTがもっと下がったり収益源がGMTに移行したりする可能性はぜんぜんあるので利率の高さは眉唾で考えておいた方が無難です。

でもたぶんこれから、STEPNの話題が夫婦間でずっと増えるはずですし、それを通じてブロックチェーンゲームや暗号資産についての話題もずっと増えるはずです。

裾野広くはじめから当事者をたくさん作る戦略がSocialFiを成功させるひとつの方程式になる予感がした出来事でした。


■大きな流れはやっぱりSocialFi。

自分の実感としてもGameFiからSocialFiに向かうという確信を得ました。
ゲームとEarnのバランスの重要性や、運動などの大義による共感の重要性、そして何よりEarnそのものの重要性も再確認できました。

コミュニティ主体というのをゼロからどうやって作ればいいのかのヒントも得られた感じがします。大勢の当事者が生まれつながることを前提としたゲーム設計ができれば、足腰強く長期にわたってユーザー獲得できる強いSocialFiなto Earnサービスが作れるような気がしています。

Earnという体験を通じて大勢の人が初めてNFTや暗号資産とのタッチポイントを作るきっかけとなるSocialFiが作れれば幸せですね。

目を三角にして稼ぐ稼ぐというGameFiより、やさしく時代の針を進められるコミュニティ主体のSocialFiが緩やかなベーシックインカムになったり、同じ趣味の人とバーチャルファーストな連帯が作れる、そんな世界線が好きだなと今回の考察で改めて感じました。

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