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『もはや世代・年代は関係ない!? 同じ趣味趣向で繋がる“消齢化”の時代はweb3の追い風に』~【新しいweb3ビジネスのアイディアのタネ】2023.6.13

■もはや世代・年代は関係ない!? 同じ趣味趣向で繋がる“消齢化”の時代へ

“消齢化”とはあまり聞きなれない言葉ですが、これは「意識、好み、価値観など年代・年齢による違いがなくなる現象」を表す造語で、「高齢化ではなく消齢化、新しく視点を変えてみようという話」、「既存の年齢の差・年代の差が我々の調査のなかでもどんどん狭まってきている」と酒井さんは解説。

「消齢化」は一発で変換できないくらい馴染みのない用語ですが、今年の初め頃からチラホラ見かけたような気がします。

Z世代やミレニアル世代など生まれた年・年齢という「世代」で区切るマーケティングの考え方に対し、特定の趣味に興じる人は年代に垣根がなくなってきており、世代論で考えるのをやめよう、というのが「消齢化」という考え方です。


全世代の同質化で世代論が不適当に

かつて若者が中心の趣味だと捉えられてきたアニメ・漫画・ゲームや音楽ジャンルなどが、実際に世代調査をすると高齢層でも好きだという人が登場すること、

貯蓄するか消費するかのお金の使い方の考え方も世代間でかなり同質化が見られ、どの世代でも貯蓄性向が下がり現役世代中に使おうとする割合が増えていること、

定年の年齢が65歳に引き上げられ再雇用などで70歳まで働く人が増えていることもあり、どの世代でも仕事上のストレスを感じるようになってきたこと、

などが全世代の同質化の根拠として挙げられています。

この記事(番組)では触れられていませんが、中高齢世代(主に昭和生まれと称される世代)の倫理的価値観のアップデートがある程度進んできたことも世代間のフラット化の要因だろうと思います。女性差別・家父長制・セクハラ・パワハラ・LGBTQの理解などなど、主に「古い昭和世代」が嫌われる原因となってきた内面化した差別意識が、社会風潮や会社内の教育などでかなり解消されてきたのだろうと思います。

(それでもまだまだ古さが残存していたり、ポリシー化してむしろ強固になりアップデートを積極的に拒絶する人もいるのが現状ですが。)


同世代内での異質性もZ世代マーケティングで指摘される

今年の初めに「2023年はZ世代論、やめませんか?」という記事を書きました。ここではZ世代マーケティングという考え方が既に時代に合わなくなってきていることを指摘し、「世代論の終焉」を提起しています。

こちらでは「同世代内での異質性」にも触れています。Z世代をターゲティングするといってもZ世代もいろいろだよね、ということです。

幅広い世代の同質化と、同一世代内の異質性。これら現象に名前を付けたのが「消齢化」であるとも捉えられます。


世代ではなく「トライブ」に注目

「トライブマーケティング」の「トライブ」は、「特定の興味関心がある集団」のことです。

「トライブマーケティング」は、「特定の興味関心がある集団へのコミュニケーション手法」で、SNSが普及したことで、誕生した新しいマーケティング手法です。

ただ、この「トライブ」は新しく出現したものでは、ありません。
SNSが普及する以前にも、興味関心がある集団は、たとえば「プロ野球」や「宝塚」「アイドル」などのファンクラブ、鉄道や旅行などの趣味サークルなどで形成されてきました。

それでは、なぜ新しいマーケティングなのでしょうか。
それは、インターネットやSNSの普及で、特定の話題や対象に共通の価値観を持つ集団が顕在化され、捕捉できるようになったからです。

世代で区切るのが不適当だとしたらマーケティングアプローチはどのように行うべきでしょうか。

その中のひとつの解は「トライブマーケティング」です。

トライブ=部族とも訳されますが、同じ趣味の集団を指します。上記で例に挙げられている「プロ野球」「宝塚」「アイドル」「鉄道」などに興味を持つ趣味嗜好があるという共通性に着目します。

これら趣味が幅広い年代に楽しまれるようになっているのが現状であり、SNSのハッシュタグなどで特定の趣味トライブを発見しやすくなっていることからトライブマーケティングが実行可能となってきました。


NFTがクリプトネイティブより一般化した時、トライブマーケティングの軸となる

NFTというよりオンチェーンデータと言った方が正確です。

ウォレット接続だけで利用する、性年代などを運営側に登録もしないDappsでは、もともと世代マーケティングができませんでした。

かわりに、どんなNFTを持っているか、何のイベントに参加してPOAPを取得したか、ECで何をいついくらで(仮想通貨で)買ったか、などがオンチェーンデータとして記録されます。オンチェーンデータは公開され、個人は特定されないまでも集計分析は可能な状態です。

オンチェーンデータを参照してわかることは本来トライブに近いものなはずです。

ただし、現状はクリプトネイティブしか使わないという入口での強烈な偏りとクリプトネイティブの人口の少なさ(MetaMaskの利用者数3000万人は全世界の人口のわずか4%に過ぎない)から、詳細な分析データをマーケティングに使うより「クリプトネイティブ」というトライブに対してマーケティングした方が効率がいいのが現状です。

NFTをはじめオンチェーンなやりとりを非クリプトネイティブも広く行うようになれば、オンチェーンデータに基づくトライブマーケティングはかなり強力なマーケティング手法となるはずです。

web3が一般には難しすぎるという初歩的な問題を解決することが先決ですが、「消齢化」はweb3にも追い風になる時代の流れを感じます。

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