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インド人とカースト#2(日本人として)


前回、結局、大多数のインド人にとって、
カースト制度は職業制度であると説明しました。
肝心の、日本人にとってカーストを
どう捉えていけばよいか、
ということですが、正直なところ、
ほぼ、気にしなくてもよい、
または、気にしても仕方ないので
考えなくてもよい、と思います。

実際のところ、インド人にとっては
どうなのか、はあるのかもしれませんが、
あったとしても、それほど意味の
あるものではありません。
というのも、そもそも、日本人が
付き合うインド人は基本的には
企業に勤めている会社員や
政府の役人でしょうから、
こうしたいわゆるホワイトカラーや
工場勤めの作業者は、職業制度の
「ジャーティー」にはないため、
職業制度から外れており、であるからこそ、
蛙の子は蛙、と言ったって、、なのです。

そもそもが、都市住民で働いている、
ということ自体、リキシャーのドライバーとか
小店舗の店主、都市近隣の農民ぐらいが
関係する程度で、都市に住んでいること自体、
かなり「ジャーティー」から外れています。
実態は多少違うかもしれませんが、
あくまで日本人が付き合って行く上で、
という但し書きをつけるなら、
意識することはほぼないと思います。

逆にいうと、今現在、「ジャーティー」の制度の
中にいる、主に農村地域の人々にとっては、
おいそれと、都市に行って、仕事に就く、
ということは至難の業、
しかしながら、一度、「ジャーティー」の
制度から外れて都市住民になれば、
もはや「ジャーティー」の特権を使って
仕事を確保したくても使いようがない、
となるのです。

中国では農村と都市部で戸籍から違う
ようですが、インドにはそんなことは
特にありません。制度として都市に行くことに
規制などないわけですが、誰一人身寄りも
親類もいないところに、1人出て行っても
住む場所も仕事さえ見つからないわけでして、
農村に住んでいる若者がそうそう
簡単に都市に出て行けることもないわけです。

農村に暮らしていたら、次第に都市化の波が
押し寄せて、自分の農村地帯が
製造業の工場地帯にとか、住宅地など、
都市の一部にになってしまったり、
桁外れに学業ができた結果、高度教育で
特待条件で寮付きの大学に進学したり、
といった条件が重なり、当人が
都市に出てきて定着した結果、
自分の家族や、農村で職にあぶれた
親戚の若者が頼って都市に出てくる、
そして、都市住民として、ジャーティーから
外れていく、となるわけです。

私はインドの情報系の会社にいましたが、
そこで働いている現地社員の
仲が良い何人かに話を聞いてみましたが、
自分の「ジャーティー」をよく知らない、
とか、自分の家族は祖父の頃に都市に
出てきたから、関係ない、とか、
そんな話ばかりでした。

日本人相手に、本音の話をしていないことも
あるのでしょうが、、それを含めても、
日本人がインドでとかく気にするカースト制度は、特に意識する必要もないのでは、と思うのです。
そういったわけで、私も駐在していた頃、
日本からの出張者によく聞かれましたが、
気にする必要もないので、
答えに困っていました。。

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