見出し画像

インド人と資金調達#2


調達とは物の調達はもちろんのこと、
運転資金の確保が大事、と前回説明しましたが、
これがインドの中堅企業の成長の足枷になって
いると思われます。
ほんの一部の財閥系の大企業を除くと、大企業を
うかがう第2、第3の規模の会社があまりない。
どの業種でも、なんとなく同じ状況が
あるような気がします。

私は情報系の業種でしたが、お客様に
ハードウェア、ソフトウェアを調達し、
それをセットアップして納めるのですが、
大規模な案件ほど巨額の運転資金がいるため、
前の案件が終わり、資金が回収できないと
次の案件を取れないので、
運転資金が売上の上限を決めてしまうような
ところがあり、そこで成長が止まって
しまうわけです。
逆に、財閥系など、大企業は資金繰りに余裕がある
→ 大規模な案件も受注できる
→ 支払い条件を緩和して仕入れの値引きさせる
→ 利益を上げやすい
→ 利益蓄積で資金繰りが楽になる
→ ・・・
となります。

また、仕入れ先についても、確実に支払って
くれる会社は信頼も高く、
情報系の案件だと、大手メーカーが直接
お客さんを持っていて、販社経由で販売することも
多いのですが(資金を回収できないリスクを
販社に負ってもらう目的もあるのでしょう)
運転資金が安定している会社に
優先的に案件を流すことが多いため、
営業力すら強化される形になります。

ということで、情報系は、TCS、Infosys、
HCL、Wiproといった、世界でも有数の会社が
ある一方、残りは、インドの各地に有象無象の
中堅企業がある、といった状況になっています。

企業の成長でも、よくX人の壁、
と言われるものがありますが、
インドでは資金面でとりわけこの壁が厚い、
と言えるでしょう。
日本ではとかく地味な印象の調達、
経理部門ですが、インドでは非常に
重要な役割を担っています。
製品価格、納期だけでなく、
支払い条件、さらには資金回収が滞りなく
できる相手なのか、信用できるかを
判断して取引する、その重責を負っているのです。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?