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インド人の英語#7(独自性)

インド人の英語の難しさを何度か
書いてきましたが、
面白い話を見つけました。
「インド人は誰から英語を習っているのか?」
です。

そもそもインド人にとって、英語とは、
との話からになりますが、
インドは言語州である、という話をしました。

インドでは使用されている言語が
多いことはご存知だと思いますが、
州が変われば言語が変わる、ということで、
国内でちょっと転勤でもすれば、
ローカルの言語が変わってしまうのです。
結婚して親戚が増えれば、それで
使われる言語も増える、となり、、
そのため、マルチリンガルが当然で、
同じインド人でも出身の州が
変われば違う言葉で話すのが普通となります。
中国でもいわゆる標準語(普通語)が
ありますが、インドの場合、
ヒンディー語も広く使われてはいますが、
英語の方が一般的だったりします。
ヒンディー語はインド北部の諸言語に近いため、
南部から見ると、ライバル意識が強く、
使いにくい、といった事情もあります。

また、日本は先人たちの努力もあり、
大学や最先端の分野でも
日本語で教育を受けることができます。
教科書も文献も日本語で学習できるわけです。
これはとても大きなことで、
理工学、医学、経済経営、芸術系に
至るまで、日本語で概念から理解し、
論文を書くことができます。
ちょっと残念なことでもありますが、
インドでは、学問や研究などで必要な概念が、
ローカルの言語には十分になく、
概念はすべて英語である、という事情もあります。
高度教育を受けるには英語が必須、なわけですね。

という事情を踏まえて、インド国内の必要性で
積極的に英語が使われているのです。
日本では、いくつかの企業で、海外人材を
考慮して英語を社内の公用語にする、
として、話題になったりしますが、
海外を意識しなくても、英語を使うのが
当たり前のインドは、こと英語に関しては
かなり先に進んでしまっています。

冒頭の話に戻りまして、
面白いのは、こちらの本の中で、
「あなたは誰から英語を学びたいですか?」という
質問の中で、インド人の回答は
「英語がネイティブの外国人」という回答を抑え、
「教養のあるインド人」という回答が
圧倒的多数であった、ということです。

よい悪いは別として、
英語なのだからそれを母国語とする
ネイティブから習った方が正しい、という、
ネイティブ信仰がないのです。
日本人とは好対照ですね。
どこかに正しい英語というものがあり、
それに近づけていく、という発想ではなく、
言葉は意思疎通や思考の枠組みのための
道具である、
だからこそ、より生活に実用的な
「流ちょうな英語を話すインド人の英語を
自分も身につけたい」と思うのでしょう。

こうしたところから、インド人の話す
英語は、概してローカル言語の影響を強く受けた
ものとなり、前に書いたように、
古めかしい単語やら、文法が残っていたり、
発音が日本人には分かりずらかったりします。

しかしながら、日本はどうでしょう?
英語、といいつつ、語学講座や学校、
放送などで周りに流れているのは、
アメリカ英語ばかり。
アメリカ英語以外は、「聞き取りずらい、
なまっている」と。。
いや、英語ではなく米語なのでは、
と言いたくもなります。

どこかに正しい英語というものがある、
という考えを捨て、インド人はインド人が
必要とする英語を目指している、
と考えると、彼らの英語もきっと分かりやすく、、
とはならないまでも、
理解しよう、とはなるでしょう。

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