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インド人の仕事#1(ジョブセキュリティ)


インド人の労働者が、仕事をする時に一番
気にしていることはなんでしょう。
業種や職種だったり、勤め先の規模、役職、
年齢や性別によってもちろん変わってはきますが、
総じては「ジョブセキュリティ」でしょう。
自分の仕事が失われないこと、
確保されていること、それを非常に気にします。

勤めている組織や集団の発展、利益よりも
まずは自分、ジョブセキュリティが一番大事です。
逆にジョブセキュリティが
しっかりと確保されていないと感じると、
モチベーションも下がり、
さっさと転職することも厭いません。

組織の中で、自分の役割が確立されて
他人に取って代わられないようにする、
それが大きな行動原理になります。
私が働いていた時も、とある取引先の
商品の見積や製品の情報は、
特定の担当営業しか知らないことが
よくありました。
その担当者に繋がないかぎり、
金額も在庫の有無も納期も分からないのです。

また、顧客のアカウント営業も同じで、
過去にそのお客様に納めた時の
案件の情報(システムの構成とか、要件、
スケジュールなども)も、
実際の担当者しか知りません。
組織が情報を共有するファイルサーバ、
というものはなく、
そもそも案件の情報や見積、商品の情報は
組織の中で共有する、という意識はないのです。
あるのは、ファイルを完全に保存して
履歴もきっちり取る文書管理システムぐらい。

こうした仕事のやり方ですが、
ジョブセキュリティ、という点から、
担当者の行動を見ればそうなるでしょう。
取引先の見積や納期などの情報を共有して
組織の誰にでもできるようになってしまったら、
自分の仕事として独占していた
取引先の窓口という仕事が、
誰にでもできる仕事になり、
自分の役割・立場が弱くなってしまいます。

アカウント営業も同様。
わざわざ他の人に自分の顧客の情報を
共有する必要もないですし、
転職した場合は、お客さんとの関係ごと
次の会社に持っていくのが当たり前です。
社内の情報システム部も、
システムの情報や構成図など、他の人が
見て簡単に分かるものはなく、
ほとんどの情報は自分の頭の中、
であることがほとんどです。
システムトラブルがあると、
その人に頼らざるを得ないのです。

情報を共有するとか、標準化、見える化とは
はるかに景色が違った世界ですが、
日本では正社員ならそうそうクビになることは
ないですから、ジョブセキュリティが
確保されているので、標準化、見える化、
といった、組織としての効率化が
大事になってくるわけです。
ジョブセキュリティが確保されない中では、
こうした行動になるのも、当たり前なのかな、と。

今は違ってきていますが、
10年ほど前は、インド人は映画を見ると
終わった時には、わざとゴミを床に残したり、
ポップコーンをこぼしたりして帰るそうで、
綺麗にしたりすると、
「汚さないと、掃除人の仕事が
なくなっちゃうじゃないか!」と。
確かにそういう考えもあるねぇ、
と思った次第。。
ここまでの例は減ってはきていますが、
根底には根強くありますね。

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