見出し画像

銭湯のこと

辛気臭い話で恐縮ですが、最近膝の痛みが強くなりました。

今の住まい(古い賃貸)はお風呂場が寒いのです。排水の問題で湯船にお湯を溜める事も出来なくて、冬にシャワーしか出来ないのは辛い。体を洗うだけで、芯から暖まる状態には程遠い。

そんなわけで、週数回の銭湯通いが習慣になりました。休日には早めに晩御飯の支度を済ませてしまって、夕方にゆっくり銭湯で温まります。昭和時代は一回230円とかだった料金は、今や450円ですが、それでも毎日お客さんは来ています。私は大きな湯船で足を伸ばし、膝を温めます。私の周りは妻業を全うしている友達の方が多くて、彼女らが家事に勤しんでいるであろう時間に一人で銭湯に浸かっていたらドロップアウト感みたいなものが迫ります。膝の痛みの緩和に必要やしー、などと内心で理由をつけずにはいられません。別に誰に責められることもないんだから堂々としたらいいのに、自分のためにお金と時間を使うことに、未だに理由を探してしまうのです。嫁だった頃は、お金と時間は常に家族のために使っていました。その感覚が未だに抜けきっていないのです。1回450円、1時間程度の、ささやかすぎるお金と時間なのに。

銭湯のジェットバス、薬草風呂、深風呂などを移動しながら、ゆっくり体を温めていると、次第に罪悪感より心地良さが勝ってきます。冬の寒さで強張りがちな膝がリラックスしてきて、脱衣所に戻る頃には芯まで温まって、帰り道も体はぽかぽかなままです。

その銭湯は漫才師ミキ兄弟の実家近くらしく、ミキのサイン入りポスターが貼ってあります。ミキ兄弟は漫才師になる時お母さんに大反対されて、なかなか認めて貰えなかった、でも何年かしてだんだん結果を出てきたらお母さんも認めてくれて、今ではものすごく応援してくれていると、テレビで拝見しました。このポスターを見ながら、そのエピソードを思い出します。

…あれ?銭湯通いと祇園花月通いが楽しみって、これ80歳のおばあさんの生活?でもまぁいいか。ささやかな楽しみは人生に不可欠なのです。

この記事が参加している募集

習慣にしていること

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?