moriee

テーブルのすみっこでイラスト描いてます。

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最近の記事

田中さん

「田中さん、田中さん〜」 田中さんを呼ぶ声がする。 職場の公衆トイレ。 私がトイレに行くとよく、この声が聞こえる。 「田中さん〜、どこいったんやろ?」 田中さんを呼ぶのは清掃員のおばちゃんである。 70歳くらいの小柄なおばちゃんだ。 「田中さん、田中さん〜」 田中さんを探している。 なぜだか私がトイレに入ると、このおばちゃんが田中さんを探して呼びかける状況によく遭遇する。 「田中さん〜」また今日もだ。 この、田中さん〜どこ〜を何回も何回も聞いていると、私は思わず返事を

    • ブラジャーのオッサン

      肌寒い。もうすっかり秋だ。 職場の近くでよく見かけるオッサンがいる。 最初はおばさんだと思っていたが、職場の同僚から「あの人は男よ」と教えてもらった。 髪をソバージュにして一つに束ね、チュニックかワンピースを着て、レギンス(スパッツと言う方が合っているが)を履いてよく歩いている。 夏のある日、そのオバおっさんを見かけたのだが、シャツのボタンが豪快に外され、白くて大きいブラジャーが丸見えだった。 なぜに丸見え。暑かったのか。 にしても丸見え過ぎる。とにかくブラジャーのイン

      • サツマイモのパン・おいもさん

        秋だ。秋といえば様々なものが連想される。 スポーツの秋、読書の秋、食欲の秋。 朝晩肌寒くなり、秋の気配を十分感じるようになった私の頭に、サツマイモが浮かぶ。 秋といえばサツマイモ。 サツマイモが好きだから、ではない。 コンビニでバイトしていた。 私が出勤する日に必ず来店するお客様(男性)がいる。 私がそのことに気づくのには時間はかからなかった。 そのお客様は毎回パンを3個購入されるのだが、その際に必ずサツマイモのパンを購入する(以下略してイモパン)。 何となく最初は(イ

        • パン屋のおねえさん

          ファンの人がいる。 私のファンの人ではなく、 私がファンの人が、生活の中にいる。 行きつけのお店や、電車でよく見かける人など、 見かけると嬉しくなったり元気になったりすることが私にはよくあって、 気づいたらその人のファンになっている。 以前勤めていた職場の近くにパン屋さんがあった。 地下街の通りにあって、オープンケースがカウンターの小さなお店だ。 そのパン屋さんの前を通って職場に毎日向かっていたのだが、私はそのパン屋さんのおねえさんのファンだった。 顔は普通。雰囲気も普通

        田中さん

          September

          September

          バーの話

          お酒を飲まないので、あまりバーには行ったことがありません。連れて行ってもらったのはほんの数回。 何を頂いたのかもほとんど覚えていません。 でも、なんとなく気になる存在です。 昔、先輩にあるバーに連れて行ってもらいました。 まだ20代前半の頃。 バーに行くのは初めてだったと思います。 下町感溢れる商店街の壁に、ドアが。 特に看板なく、ただドアがあるのみ。 そのドアを開け中に入ってみると、赤い妖艶な光の中にアンティークな椅子、ソファやテーブルがあって、紳士淑女の皆さんがお酒を

          バーの話

          はじめまして。

          はじめまして。