【詩】できないちゃん

わたしはべんきょうできないちゃん
さざんがじゅうご　ごろくよんじゅう
テストはいっつも30てん
でもでもでもね　それでもいいの
そういうところがかわいいねって
みんながわらってくれるから
ありのまま　ありのまま
 
わたしはスポーツできないちゃん
がんめんキャッチはおやくそく
かけっこいっつもスッテンコロリン
でもでもでもね　それでもいいの
そういうところがおちゃめだねって
みんながわらってくれるから
ありのまま　ありのまま
 
 
わたしはおんがくできないちゃん
ドミソのつもりがレファラになって
おうたはいっつもすっとんきょう
でもでもでもね　それでもいいの
そういうところがおもしろいって
みんながわらってくれるから
ありのまま　ありのまま
 
(三年二組　はぎのさとみ)

私は30歳になった
今でもできないちゃんのまんま
この前会社クビになったわ　ハハ
 
で、言い訳にはなるんだけどさ
怖かったんだよね
何かを一生懸命がんばった結果、
『中途半端にできるちゃん』になっちゃうのがさ
そうなると誰も笑ってくれなくなる気がして
私がなんでもなくなっちゃう気がして
ずーっと努力してこなかったわけ
でも30のなんにもできない奴をさ
かわいいだのお茶目だの面白いだのって
笑ってくれる人なんていないんだよね
社会じゃ邪魔者扱いだし　ゴミとおんなじよ
 
もう誰にも必要とされてないわけだし
ここらで死ぬかーと思って
屋上で風に吹かれてたんだけどさ
涙とか一滴も出ないもんなんだね
まあ、そりゃそうか
なーんにもやってこなかったんだから
なーんにもないんだから　ハハ
 
それじゃあ最後に私からの忠告な
少年少女、耳かっぽじってよーく聞いときな
 
できないことを『らしさ』にするな‼
 
まあ、これだけなんだけどさ
絶対私みたいになっちゃダメだからな
お姉さんとの約束ね
 
ではでは、そういうことで　みなさんさようなら～
 
 
 

……ハハ
ごめんなさい
やっぱり無理でした
バカみたいに震えちゃってんの、脚
ほんと情けないよね　ハハ
 
結局私は、
 
自分で死ぬのもできないちゃん
自分で自分を笑ってる
 
あーあ