戦国武将は、戦国時代の経営者。
若いころ、「戦国武将は英雄やヒーロー」だと思っていました。
正義のために悪を討つ姿を求めて、潔いか卑怯かの二元論で、戦国武将を色分けしていました。
しかし、中小企業診断士として、企業の経営支援したり、家族や社員の生活を守るために日々戦う経営者の悩みに触れるうちに、戦国武将たちも、現代の企業経営者と同じように、一族郎党を守るために、必死に生き残りを懸けて戦っていたのだと気づきました。
正義がどう、卑怯かどうかというレベルではなく、戦国時代という不確実性の高い環境で、いかにして生き延びるかだけを念頭に、行動をしていたのだと思うと、戦国武将たちの裏切りや日和見的な行動も認めざるを得ません。
まさに「戦国武将は、戦国時代の経営者」でした。
10月に刊行予定の『戦国武将の成功と失敗(仮)』は、この「戦国武将は、戦国時代の経営者」という視点で、戦国武将12人の経営者としての成功と失敗を、SWOT分析などを使って解説しています。
トップバッターの戦国武将は、武田信玄の後継者である武田勝頼です。
戦国武将の事業承継として、偉大な先代経営者である信玄から、有能な家臣団や領土領民を、勝頼は受け継ぎました。
しかし、10年ほどで武田家は滅亡してしまいます。
古参の家臣団や一門衆を統率するために、自身の実力を誇示しようと無理な遠征をしたりなど失策を重ねてしまいました。
まるで、ベテラン社員たちを心服させるために、偉大な創業者を越えようと、足掻く二代目社長の姿を見るようです。
武田家の事例を現代のビジネス視点で分析してみると、その失敗から学べる事は大いにあります。
また、同時期に、関東で抗争を繰り広げた、上杉家や北条家の事例も分析しています。
豊臣秀吉と協調路線を選択し五大老となった上杉景勝と、豊臣政権と対立することになり滅ぼされた北条氏政。
一度、滅びた家と、幕末まで大名として存続した家を比較する事で、現代の経営やビジネスに活かせる知見やノウハウを導き出しそうとしています。
その他にも、ブランディングや組織改革、差別化などをテーマに、戦国武将たちのストーリーをSWOT分析などを使って解説しています。
中小企業診断士としても、戦国時代の経営者である戦国武将たちが残してくれた知見やノウハウが、現代の不確実性の高い環境で戦う経営者の一助になればという思いで書いております。
『戦国武将の成功と失敗(仮)』は、ビジネス教育出版社より、10月刊行予定です。
イラスト by 井筒 範子さん
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