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「小麦」|国内需要に対して、輸入小麦が8割超えの事実と国内のコメ離れについて米農家の長男が考える

こんばんは。今日は小麦に関する資料を読んで感じたことをまとめます。なぜなら、私は代々続く東北のコメ農家の長男でして、どうしても主食に関する話題は、無視できない話題だっただからです。

小麦のことは全然無知だった

スーパーで普通に買ってきたパン、小麦粉(輸入小麦)を食べ、30年あまり生きてきました。

米農家だから米ばかり食べている、というのは大間違いでして、半々、むしろパン(小麦)を食べている日の方が多いのではないかと(非常に家庭財務事情的にはもったいないですよね。)。

優秀に焼けるパン焼き機械が爆売れする、高級食パン屋さんを日に日によく見るなど、近年は、美味しく食べられるパンの話題で持ちきり。

私自身、小麦の奴隷になりつつあるのではないかと、日々ヒヤヒヤして過ごしています。それに伴って、浮き輪肉も増えてきた気が...そしてイライラする日も増えてきたきが...

と、今まで考えていませんでしたが、今度小麦を自分で栽培したいなあ〜と思い立ち、日本原産の「南部小麦の種」を今年買い、栽培方法を調べたことがきっかけです。

国内の小麦需要量は、6百万トン余りで、国内生産量は 80 万トン前後

2018年では、小麦の輸入量は560万トンを超えます。国内で生産する小麦の総量は、76トンあまり。つまり、国内全体の小麦需要に対し、約15%くらいしか国内自給できておらず85%は輸入に頼り切っている状況ということです。

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戦後に小麦の需要が莫大に上がっていること(100倍以上)、そして輸入量が増えていることは、なんとなく政治が絡んでいる感は、事実からも否めませんね(輸入国第1位はアメリカ)。

米の消費量(国内需要)は下がり続けている

ちなみに、我が国の米の消費量のグラフはこちらです(米をめぐる関係資料:農林水産省より引用)。

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1960年(昭和35)に1300万トンの需要があったのが、近年では838トン、大体40%くらいが減っています。日本国内の総人口はこの間、9000万人→12000万人まで増加しているのにもかかわらず、です。

大半の日本人が輸入小麦を食べている

85%が輸入ということは、大半の日本国民がパンを食べる時、国外の小麦を食べているということになります。

農林水産省の2017(平成29)年度のデータでは、おもな輸入先国は、アメリカ(54.8%)、カナダ(28.9%)、オーストラリア(16.2%)で、この3カ国でほとんどを占めています。

確かに、広大な面積の方が育てやすいよね

日本は森林が国土の7割以上をこえ、山間部が多い地形の為、田んぼは棚田が多く、非常に管理がしにくい、大変です。

我が家も、古くからある「小さい田んぼ」が複数点在しており、田んぼ移動のたびに田植え機械やコンバインを移動させ、狭い道路で車とすれ違うのも一苦労。

対して、広大な面積のある、アメリカ、カナダ、オーストラリアは、想像すればとんでもなく広大な大地で、大量に生産していることが想像されます。

品質の是非はわからない。でも、国内でとれたものを国内で消費した方が物流的にもエコだよね

アメリカから輸入するのにも、飛行機、船などを通じて、石油など移動に際して、さまざまなコストが発生し、それを輸入国が間接的に負担することになります。そのコストは消費者である我々が、何かしらの形で負担しているのです。

確かにたくさん生産した方が安くできるのだけども、移動中の船の中でカビが繁殖してたりとか、どんな肥料や水使ってるのかとか、種は遺伝子組み換えなのかそうでないのかだったり。実は知らないことが多いなあと。

近年はものあまり時代と言われ、健康志向へのニーズが高まりを見せています。

国内で農作物を育てることの意義

生産と製造の現場が全く見えない輸入小麦に対して、国内で育てた少量ながらも目に見える安心がある国産小麦を育て、販売した場合、喜ぶ人は一定数以上いるのではないだろうか、と考えました。

「日本国民が食べる飯を、海外に委託して作ってもらっている」

という現状で果たしてこのままで良いのでしょうか。政治不安、海外の人口が爆増、天候不順などにより、輸入をストップされたら...、さて、スーパーの小麦は、パンはどうなるのか。

そして、日本の米。身近なところでも、高齢化は進み、農作業は80代以上のじいちゃんばあちゃんたち。田んぼ自体は年々生産者が減っていきます。
きつい、汚い、危険、これ、誰がつぐのだろう...と。

国民のコメ離れが増えれば、米価は安くなっていく。

IOTとか、自動で遠隔操作コンバインとかは、自家消費のような小規模農家にはまだまだ遠く、なぜならコストが高すぎるから。最近農機具シェアのサービスを聞きましたが、なんとか普及して一個人でも、安く機械が借りられるようになったらいいな。この辺りはイノベーションの余地があるのだと思います。

話が大きくなってしまったが、じぶんで食べるものがじぶんで生産できるようになったらいいなと

私自身の理念は、「じぶんで食べるものはじぶん自身で生産したい」というのが根底としてあり、誰もが近くの土で「自分で食べるものを自分で生産できるように」なれば、世の中の争い事が少なくなるのでは、と考えています。

そして、余った農作物は、タダで分け合えば良い。

昔の日本では、今の田舎でも普通に行われていることなのですが、これが続いて、広がっていったら、張り詰めた資本主義社会において、もう少し息を抜いて暮らせるのではないだろうか、と。

なので、今は、種がとれる品種(固定種)を、化成肥料なしで生産するという技術(無肥料栽培)に着目し、環境負荷が少なく、誰にも迷惑をかけない農法と生き方について、コツコツと趣味で勉強しているのでした。

では失礼します。
Sam (Twitter)

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