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キミの頑張りは知ってるよ

前回の続きです。ものすごく個人的な内容にも関わらず、思いがけずたくさんの方に読んでいただいていて、なんだか恐縮です。

【前回の日記はこちら】

タイトルにつけた「キミ」。

これは妻であり、息子の恵多(けいた)のこと。

えらそうにこんなことを書いているが、僕はたいして何もしていない。頑張っているのは妻であり、恵多自身だ。

3歳前に「広汎性発達障害」と診断された長男の恵多(けいた)は、いわゆる「ボーダー」「グレー」と表現される類の子だ。

最近はどんどん増えてきているらしい。

僕らが子どもの頃にもクラスに一人はいた、ちょっと空気を読むのが苦手なお調子者のあの子だ。

悪気なく目立ってしまう。

それなのに必要以上に正義感が強くて、そのギャップに周りは戸惑ってしまうこともしばしば。

3歳になって、恵多は幼稚園に通い始めた。

当時、僕らは佐賀に住んでいた。

自宅から近いこともあったが、園児数の少ない小さな幼稚園だった。

先生たちは優しかった。

入園するときに恵多の特性のことは相談していたが、とにかく恵多の良いところを認めて温かく見守ってくださっていた。

子どもたちを主体にして、のびのび育てる方針が恵多には合っていた。

集団の中でどう振る舞うことができるかがまず心配なところだったが、どうやらそれなりにうまくやれているようだった。

幸い幼稚園に行きたくないということは一度もなかった。園でも他の子とのトラブルなど大きな問題はないようだった。

ひとまずホッとした。幼稚園や小学校など、集団の中での問題は親の心を疲弊させる。

揺さぶられる感情

どうやら外ではうまくやれている。

でも、家ではワガママし放題になってしまう。うまくいかないときは本当に何をやってもダメなのだ。そのたびに落胆した。

小さい頃から随分怒ってしまったな。でも、頑張ろうとしてもできなかったんだと思う。

今思うと、相手をしてほしくて必死だったんだろうな。恵多、ごめん。

「できないこと」の中に、「できること」もたくさん見つかる。

昔のことを記憶しておく力が抜群に良かったり、言葉で自分のことを表現することだたっり。

「この子が本当に発達障害なのか?」

妻と何度話したか分からない。現実を受け入れたくない。どこかで突きつけられている現実から逃げたい気持ちがあったのだと思う。

でも、恵多がきっかけとなり僕たちも学び、知識を得ていく中で、どうやら発達の「デコボコ」が大きいらしいということを知った。

恵多は一切悪くないんだ。

ただ、得意・不得意がはっきりしているということ。それだけのこと。

まだ見えていない才能があり、それがいつか開花するんじゃないか。得意なことが見つかるように、最低限できることを増やせるよう環境を整えた。

療育に通い出す

そんな中、幼稚園に行きながら療育に通い始めた。

集団の中で最低限困らないようにソーシャルスキルを身につける練習をするためだ。

頑張っていたのは僕じゃなく、もちろん妻だ。藁をも掴む気持ちだったのだろう。

幸い住んでいた佐賀市は支援が充実していた。療育に行ったことでどれだけ変化があったのかは正直よく分からないが、同じように悩む人と知り合うことができたのは妻や恵多にとってプラスになっているようだった。

そんな日々を送る中、第二子を授かり弟が生まれた。

恵多が4歳になったばかりの12月のことだった。

(つづく)


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