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【読書感想】上手なお金との付き合い方の例ーー紫苑著『71歳、年金月5万円、あるもので工夫する楽しい節約生活』を読んで

紫苑著 大和書房 2022年出版 

 アマゾン漁ってたら、この売れてる本が目に留まり、ちょっと興味を引き、ブックオフで購入して読んだ。

 今までいろんな節約本とか目を通してみたが、食費を一人で一万円で抑えるってどうしてもできないよな、と思っていたが、彼女のやり方を読んでいたら、これは納得できる、と思った。一番節約しやすいのが食費なんだと思うが、あまり節約してると、すごくストレスたまって限界がくる。食費節約レシピなど見てると、手間だけかかっているだけに思えてしょうがない、とか思っていたんだけど、紫苑さんはメインはイワシ、鶏むね肉、たまに鶏レバー。調理の仕方はあまり質素になるとやだから揚げ物もやる、とのことで、とても充実した内容だと思ったし、一人で続けるには現実的なメニューだと思った。

 一人暮らしだと、自分で食べて自分で料理して、ということを続けていると、だんだん買う食材も調理法もルーティン化してくる。若い人が節約本書くと、調理法とかすごく工夫してて、力んでるのが分かる。こんなんじゃ続けられないよ、と思うのだが、紫苑さんの暮らし方は自分に無理をしてない。簡単で自分一人が満足できる料理だな、と思った。

 衣服に関しても、自分でリメイクしたものを、「コム・デ・ギャルソン」とかいうとこも、すごく楽しんでる感じがして、こういう老後っていいな、と思った。

 百均で買える木材とかでDIYをやってカラーボックスに扉をつけたりしているところなどは、私の母を思い出した。いや、無理があるでしょそれ、という出来栄えになっても、本人はその工夫する工程や、いかにお金を使わないで満足できるものを作れるかが大事なので、そうなってくると、生活の達人ともいえる領域に入ることができる。

 節約しなきゃと思うと、結構ストレスたまる。お金の使い方とか、あまりにも切り詰めると、あるとき爆発する。食費も、ファッション代もしかり。でもあまりにも長いことお金のない生活をしてきた私としては、少ないお金で生活楽しむってどういうことだろ、と考えながら生きてたら、お金の価値というものがだんだん変わってきたように思う。

 この本は、年金生活している世代の人よりも、若い人にいまのうちに読んでもらいたい。こういうふうに老後、お金がなくても生活を楽しめるようにするにはどうしたらいいか、若いうちに考えておきたいものだと思った。多分、お金との付き合い方なんだと思う。お金を使ってでしか楽しむことができない、という「お金持ちなんだが心は貧しい人」になってしまうと、将来、暗黒の老後が待っている。ずっと、足りない、足りない、と思って生活するのは苦しい。この少なさで充分、と思えること、すべてはそれに尽きるように思った。


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