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韓国文学におけるSFとはーー『保健室のアン・ウンニョン先生』を読んで

 チョン・セラン著、斎藤真理子訳 2020年出版

 図書館の本棚に、刺さっていたから借りた。ほんと、翻訳がうまいと思った。

 チョン・セランさんは、SF作家といわれ、彼女が書くものはSFのような非現実的な世界を書いているんだが、主人公がなんせ保健室の先生で、それなのに怪物や霊と闘ったりする。どこかやりすぎにならない程度の創作、といった感じがした。韓国ってSFがすごく身近な文学なのかな、というか、誰でも挑戦するジャンルというか、そういうのが現代文学に分け隔てなくあるんだと思った。というか、韓国で言われる現代文学におけるSFってなんだか特別な位置にあるように思った。

 そのぶっとんだ、SF的な展開でついていけないとこはあるのだが、なんとなく、読んでて頭に入ってこない感じがあったのだが、保健室の先生と漢文の先生の男女の恋仲になっていくとことか、ほのぼのした雰囲気でよいな、と思った。話のちょっとしたとこで、SFチックな展開になるから、これ、翻訳するの難しいだろうな、と思った。なんのこと言ってるのかわかんなくならないか、と思った。

 自分が日本語以外に外国語を勉強している立場から考えると、小説でいきなりぶっ飛んだ展開になると、こういうとき、翻訳者はどういう訳を思いつくんだろうかと不思議に思う。私だったら、何かの間違いじゃないかとおもったりするんだが。フランス文学のシュルレアリスム小説なんかはとりわけそうだが、韓国文学はそこまで言葉でぶっとんだ展開になる者はなさそうだとは思う。どちらかというと、ストーリーが変な展開になっていくのが、この作家さんが書く小説のように思う。

 このチョン・セランさんの本、結構読んだよね、ほかの韓国作家さんと同じように、社会的問題が、すらっと小説の話になじんで書かれている。


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