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初パリ旅行を思い出したーー高山なおみ著『フランス日記』を読んで

 『フランス日記 日々ごはん特別編』 高山なおみ著 アノニマ・スタジオ 2006年出版
 
 最近、図書館に行くと、高山なおみがブログに書いてたエッセイで書籍になった『日々ごはん』を一巻ずつ借りているんだが、そんななか、途中で、フランスに行ったことを書いた日記は別の本になると書いてあったので、この本を借りた。高山なおみさん、初のフランス旅のことがまとめて一冊になっている。読んでて、自分がヨーロッパに初めて旅した時に感じたことなどがありありと思いだされて、私もフランス行きたーいと思った。

 今まで、高山なおみの『日々ごはん』のエッセイを続けて読んできて、実際、料理の感想をあんまり表現しない人なんだな、と思っていたんだが、フランスで初めて生ガキとパンを食べた時の描写がすごく良くて、びっくりした。外国旅行したとき、こういう料理のおいしさっていうか素材の良さ、というか、食べ合わせの文化というか、こういうのに出会ったときの感動がすごく伝わってきた。生ガキとなんでもない田舎パンにバターを塗ったものが口の中で混ぜ合わされる相性のよさが伝わってきて、まさに、私がアメリカで白いふわふわの食パンにチーズとターキーとマヨネーズを挟んだのを口に含んで、ポテトチップスを食べるうまさ、と思った。フランスの生ガキとパンの組み合わせはそのグレードアップしたもの。ていうか、ヨーロッパに旅行したとき、私はとてもパンのおいしさを感じたんだが、このパンと、料理の相性の良さに出会ったときはひと際感動した記憶がある。なんなんだろうね、こういう文化。

 高山なおみさん、って多国籍料理のレストランやってたから、外国を放浪してたイメージがなぜか私にはあったが、フランスは初めてとのことで、この本興味深く読んでたが、自分が書いた料理の本持っていって、電車でご老人のおばあちゃんが座ってる席に相乗りして、本見せて片言で会話するとこなど、こういう一人旅を経験したことある慣れた人だな、という感じはした。ただ、私も若いころ一人旅を決行してきた身のものとしては、結婚して他人と旅行するのって楽しさも倍増するがめんどくささもあるんだな、と彼女の旦那さんとの旅行中の衝突などを読んでて思った。

 それもなにも、高山さんの日記の書き方が飾っていなくて、ありのままの彼女の夫婦像が見える。そんな日記だった。

 普通にフランスに初めて行った人が、蚤の市とか、レストランとか、カフェとかパリの街並みを楽しむ感じが飾り気なく伝わってきて、よい旅行記だった。

 なんか自分が初めてパリに行った時に感じた、「パリっていいな、こういう生活」って思ったことと 非常に重なっていて、なんで、パリに旅行すると、人はこう感じるんだろう、となんだか不思議にも感じた。私もパリに行った時、知人の家に行って料理を振舞われたことなど忘れられない。市場通りにいって野菜や果物の色がすごく鮮やかだったことなどが忘れられないことなどを思い出したのであった。


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