【読書感想文】オムレツと石井好子のエッセイ
『人生はこよなく美しく』 石井好子著 河出文庫 2016年出版
図書館でなんとなく借りた石井好子のエッセイ。あの有名な『巴里の空の下オムレツのにおいは流れる』がとてもよかったので他にも読んでみたいと思った。
前半はいろんな人から聞いたレシピが書いてある。後半は、女性著名人に聞いたおしゃれについてのエッセイと個人的な経験のエッセイ。
私はフライパンにバターを熱して溶き卵を落としてオムレツを作るといつも石井好子のエッセイを思い出す。料理エッセイイストとして認識していたが、シャンソン歌手だそうだ。多分、知っていたと思うが、あまりにも、料理についてのレポがうまいのでいつの間にかそういう認識をしていたのかもしれない。シャンソン歌手としては、まだ海外旅行をすることが簡単ではなかったときに、アメリカ、フランスへ渡航し、フランスで毎日舞台に立っていたそうだ。
料理のレポも、女性のファッションについても、異国の文化についても、とても読みやすいエッセイで美文で読んでいて心地よい。女性の生きるスタイルを考えさせられる。こういったエッセイは今となってはいろんな人の手によって書かれているが、やはり石井好子が、この手のエッセイの先駆的役割を果たしたのだろう。今読んでも、時代を感じさないのだが、海外生活などの話は、日本人として生活していくのは大変だった時代なんだろうな、とか、思ってしまう。そして、元気のよい魅力的な女性がたくさん登場して、彼女たちがいたからこそ、今の私たちがある、と思ってしまう。
料理も、ファッションも、芸術も、まんべんなく寄り添って文章を書いて生きていく。そんな彼女の姿にあこがれる。
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