見出し画像

【マンガ感想文】アラフォー女性の描き方ーー『セクシー田中さん』を読んで

 芦原妃名子 小学館フラワーコミックスα 2018年出版

 たぶん、朝日新聞の書評に取り上げられてたから私の読む本リストに長いことあったんだと思う。最近、今までの研究書を処分し始めてから、マンガとか軽い感じの本が読みたくなって、マンガを購入することにした。ので、noteにも感想文を書くことにした。

 タイトルになってる田中さんとは、アラフォーの経理担当している独身女性。同じ会社に20代の初々しい派遣社員の朱里さんという子がいて、地味で正体不明な田中さんのことが気になる日々。ある日、中東の伝統的な料理が出るレストランで食事をしていると、ショーが始まり、超美人な女性がダンスをしているのに遭遇する。その人が、会社ではとても地味にしている田中さんで、そんな田中さんに朱里はすっかり魅了される。というストーリー。

 20代の派遣社員の朱里が一人で食ってける給料じゃないから、誰か結婚相手を探そうという気持ちと、田中さんみたいにアラフォーで、なんかを始めてみたくて、ベリーダンスを始めたという地味だけど変身願望のある女性が、とても簡潔にこの1巻に書かれていた。というか、マンガだからこそなのか、簡潔な女性同士の二人の関係と、そんな女性が気になる男性が結構単純に書かれてて、それなりに先が気になって2巻目も買おうか、迷い中。

 私が思ったのは、このセクシー田中さんのキャラと設定がとても良いのに、彼女が恋する相手が、女たらしの軽い感じの男性、というのがなんとなく納得できなかった。アラフォーで昼間地味に事務で働いている女性が、夜、ショーでダンス踊ってる女性に変身して、ダンスのために体づくりして、料理して、節約して、というところは、くそかっこいいな、と思ったけど、ちょっと内気で初心な女性のキャラを交えると、そういう人が好きになる男性のキャラがお決まりのよくいる女たらしの軽い男というパターンになってしまうとこがなんか、もやっとした。

 この先考えられるのはセクシー田中さんのキャラは1巻目にして完璧だから、彼女が好きになる男性像が変わっていくんだろうと思われるが、それは、ファンである朱里も同じで、そこらへんでゆらゆら揺れてく恋愛話になるのかな、とちょっと予想される。

 とにかく、セクシー田中さんのキャラ設定がとてもよい。『姉の結婚』よりも、年齢がいった女性の価値観だとか、仕事と生活と男に対する向き合い方が、とても感じよく描かれてると思った。アラフォーていうか、すでに40代になって独身の身の私としては、とてもなんだかほっこりよい気分になったマンガだった。


この記事が参加している募集

#読書感想文

189,685件

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?