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近くて遠い国ーー『台湾の本音』を読んで

 野嶋剛著 光文社新書 2023年出版

 この日曜日に結果が出たが、台湾の選挙がずっと話題になっていたし、最近、私が行ってみたい国のひとつに台湾があって、気になっているので、この本を購入した。

 ずっとアメリカやヨーロッパのことばかり身近に感じて育ってきた私は、大学院を出たら、行ってみたい国はアジアになった。特に、韓国と台湾は、飛行機に数時間乗っただけで行ける外国でとても身近な国。行こうと思えば簡単に行けたのに、なんで40すぎてから行こうと思ったのか。今まで全然私の目には入ってなかった。近くて遠い国だった。最近、アジアの言語も日本語以外にひとつくらいはしゃべれるようになりたいな、と思って、韓国語を勉強し始めたけど、あまり続いてない。とりあえず、旅行でもいいから行ってしまえと最近思っている。

 そんな台湾の話。この新書は、分かりやすく簡単にまとまっている。私が最近気が付いたことは、地元の横浜中華街を歩いていると、台湾屋台料理と名がついているお店をよく見かけるようになった。なんかそれに違和感を感じた。中国と統一、それとも台湾独立か、という安直な二項対立ではない、とこの本に書かれていたが、そういう中華街の光景を見ていると、それは何となく感じる。この本、岸田政権の話とかごく最近の話題がいっぱい書かれているから、読むなら今すぐ読むべしと思う。台湾というところはそれほど、今変化に富んでいるところだし、実際台湾に訪れてこの目で見てみたい。

 「原則というのは、何がなんでも絶対に曲げないということです。通常、外交方針というのは「原則」ではなくて「政策」ですね。でも中国はそうではなく、原則だという。その意味が重要です。中国にとって、台湾を飲み込むことは絶対に変更を認めない原則、いわゆる信仰に近い、宗教的な教義(ドグマ)となっているわけです。」 p. 86

 という文章があったが、それはそれでちょっと怖いなと思った。外交方針が政策でなくて「原則」、というのはいったい誰の原則といっているのだろうか。国の原則?政策とは違くて?台湾を飲み込むことが原則、って中国にとってってこと?

 「アメリカと台湾の接近については、戦略的な観点から注視するのですが、台湾が日本と接近することは感情的な観点から嫌がるのが中国です。」p. 184

 日本が台湾を植民地化していた過去は重たいが、中国が、日本と台湾が接近することが気に食わないというのは、その植民地時代の話が根底にあるからなのか、それとも、現代の政治的な問題なのか。現代の政治的な問題からすると、台湾独立を支持できない、という姿勢を日本はとるべきだそうだが、それがどうしてなのか、どういった外交問題があるのか、私にはあまり理解できなかった。

 とりあえず、もう一冊台湾関係の新書を読んでみることにする。


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