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『アイデア大全』を読んで

読書猿著 フォレスト出版 2017年出版

 アイデアが枯渇したな、と思うことってあるだろうか。いや、アイデアが湧かないなと思ったこと、と言ってもいい。

 この本は、アイデアをひたすら出す方法があれやこれやと述べられている。アイデアなんかないかな?と思って探すというよりも、日ごろ思っていることがなんでもトピックになりえるので、この本読むと、この方法試してみようかな、と、創作意欲が自然とわく。

 しかし、よくこんなにアイデア創作方法として、本を読み込めたな、と思った。シュルレアリスムの「デペイズマン」まで方法のひとつとして取り上げられていたのには驚愕した。これはアイデアを取り出す方法というより、実験というかひとつの表現形態というかこういった啓発書に取り上げられるほどのものとは思っていなかった。こんなのまで盛り込む読書猿さんに敬服した。

 本前半は、簡単な方法のものが挙げられているが、後半は、蝉の羽の折りたたみ方や生物の生体システムを研究して考え方に取り込むバイオニクス法やら、本格的に論文や、文理問わずに研究していくうえで自然に使っている方式が目立った。自然に使っているのではあるが、こんな方法もある、と、この本のこと思い出して、取り掛かると、また別の視点で物事を考えられるようになるかもしれない。

 また、著者も始めに述べているように、この本はちょっとした読み物としても、読める。才人の話がつまみつまみ書いてある。つまみとしては物足りない感もあるが、注がついていて割と詳しい。マニアックだな、と思った。ただ、このように単純にアイデア生み出す法として取り上げられていると、違和感があるものも、シュルレアリスムを始めとしてあるのではないか、とちょっと疑いもする。

 まあ、デペイズマンがアイデア創出の方法として取り上げられていることに関しては、疑わしい面もあるが、それはそれで、アイデアになり得るのであれば、方法が一つ増えてよいのではないか。また、見逃してはならないのが、最後に述べられていた夢見法である。夜見た夢を記録して、それをヒントにするという方法。オードリー・タンの本読んだら、行き詰まったら、とりあえず寝る。すると朝起きた時に解決できてる。というのをこないだ読んだが、彼女は夢見法とまでは言っていなかったが、頭がすっきりするらしい。このアイデアの出し方は、みんなどこかで聞いたことがあるし、ほんとかいな、と思っていると思うけど、あり得る方法ではあるんだな、と思った。



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