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ラーメン屋に潜り込んでレシピを盗む。③ 〜若者への言葉〜

とうとう

チャンス到来である。
そう、私が東京で一番おいしいと思ったヴィーガンラーメンのレシピを頂戴する時が来た。

良心

こう書いていてチクっと心は痛むし、
料理人にとってレシピは命の次に大事なもの、と一緒に働いていたシェフから直接聞いたことがある。
が、ここで断っておく。
この原宿のラーメン店は後に潰れ、私の店も閉め、この時頂いたレシピはお蔵入しているのである。
そして、もちろん当時もそのレシピをそのまま使うつもりはなかった。
そこだけは書いておきたい。

「ラーメン二郎」がどのように暖簾分けしているかは知らない。
「すき家」の創設者が「吉野家」のレシピを真似したかどうかも知らない。
パークハイアットの総料理長が、下積み時代に学んだことをどう生かしているかも知らない。

あっさり頂戴する

とにかく私は、ラフォーレ原宿で20歳そこそこのアイドル志望の子とラーメンを茹でる目的をこの時決行しなければならなかった。
レシピは綺麗にファイルにまとめられていたので、私はスタッフもお客さんもいない時間をみはからって、すかさず自分の小さなメモ帳に調味料やらグラム数やらを書き写した。

そういえば背景

私はヴィーガンスペイン料理店を営みながら、他のプロジェクトにも参加していた。
それは、ある有名大企業の社内起業みたいな取り組みで、そこの社員さんが会社のお金を使って自分たちのアイディアをビジネスにする、というものだった。
彼らは「ヴィーガン」というキーワードに着目し、Facebook上の昔の知り合い経由で私へ連絡をとってきた。
私はヴィーガンについて知っていることを話し、思いつきでラーメンなんてどうですか?と提案した。
彼らは社内の都合上「何か」をシンガポールでやりたかったのだ。
トントン拍子に、ヴィーガンラーメンをシンガポールで売る、という話にまとまった。
私はその監修役みたいな形で携わった。(無報酬)
彼らと一緒に都内のヴィーガンフェスでラーメンを売ったこともある。

それとは別に、私自身もヴィーガンラーメンで世界進出を考えていた。
だから、原宿でアルバイトにも挑戦したのである。

知らないことは見てやって覚えたい、という好奇心と行動力が私らしさだ。
要領は悪いかもしれないけれど、とにかくこの目で現場を見たい。

若者たちへ

原宿のこのラーメン屋には結局約3ヶ月ぐらい籍を置いていた。
その中で学んだことはたくさんある。
スープのとり方、麺を茹でることから丼に盛り付けるまでのオペレーションを現場で体験できたのは、私の財産だ。
その後街のラーメン屋に行けば、どうしても厨房内の動きを見てしまう。

私は2人の娘の母だが、娘たちにはできるだけいろいろな業種、職場で働いてほしいな、と思う。
私自身が学生時代アルバイトをできなかったので、今さら
スタバでエスプレッソを入れてみたい、
マクドナルドのドライブスルーの仕事をしてみたい、
サウナ屋さんで裏方をしてみたい、
なんて思うのだが、そんな大人も多いんじゃないかな。

やりたいと思ったらその場で動く。
明日死ぬかもしれないから。

若者にアドバイスできるなら、
少しでも興味を持ったら恐れず飛び込め。
知らない世界にゆけ。
何も怖いものはない。
一番怖いのは、無関心。
いつまでも好奇心を。

大人の誰もが思っていること。
チンプ(陳腐)でシンプル
だけど圧倒的に真実。

今何も責任を負っていない立場であるなら、
興味のあること何でもやってみて。
それが「あなた」の土台になるから。

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