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創作(逆噴射)

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逆噴射小説大賞応募作
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#逆噴射プラクティス

実用!魔導大戦グリモワール

「いとも鋭き…神意の……剣」祭服を纏う男は重厚な書物をめくり、憂いを帯びて目を細める。
「鉄の葉衣。命脈を保つ」片や黒マントに蛇腹の経典を巻き付けた胡乱な男に、殺気が滲んでいた。

 二者は詠唱を止め…不穏に輝く頁を…破り捨てた!
 祭服がありったけの筋力で投擲!「最新百科辞典の極薄は斬れ味バツグンよ!死ねーッ」硬化した紙片はギロチンめいて飛来!
 黒マントは流線型の張り子障壁を形成…全て受け流す

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コンビニの列も守れねえやつら

 レジは3台で、棚の隙間は4列あった。
 俺が真ん中へ進むと、ババアと鉢合わせした。

「あのねえ、アタシャ5分以上待ってたよ。お前さんどうだい?待たんだろよ」「一緒だって。前のオッサンがモタついてたのが悪い」
「あのーっ……」後ろの女が挙手していた。「大変すみませんが、その、お手洗に行きたくて……モメるなら、私を先に」

 俺はどんどんイラついてくる。
「あーっわかったよ、お前も入れてジャンケン

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横領騎士

 色素の薄い女がいた。

 死体は語らず、口は半開きのまま。女も口を半開きのままに、じっと佇む。
 乏しい草を、乗用恐鳥がついばんで減らす。植物柄のブラウスが唯一、果てしのない荒れ野を背に生い茂っていた。
 痩せて、ともすれば若い男のようだが、女はそのどちらでもない。対して、死体の方は若い男であった。胴には深い穴四つ。致命傷で間違いない。腰から抜いたやっとこで、死因の銃弾を抉り取り、女は観察する。

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