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季節と音楽(11月のよく晴れた日に)

だんだん、朝布団から出るのが渋くなってきた。今朝は特別寒かった。ラジオでは木枯らし一号が吹くといっていたような気がする。

大学の木々も一部、黄色や赤に色づいてきた。
この時期の、スコーンと高く晴れた空と、赤や黄色に紅葉した葉の鮮やかなコントラストが好きだ。
ツンと冷たい空気も相まって、とても色が冴えて見える。

上野の校舎で石を彫っていた時は、作業場にめちゃくちゃ銀杏が落ちてくるので、その強烈な臭いに毎年本当に勘弁してくれよ…と思っていたけれど。(制作中の作品の上に銀杏が溜まっているのは、なかなかツライ)
今の作業場には銀杏が落ちない。ありがたいことだ。

秋から本格的にそろそろ冬に向かいますよ、というこの時期、木々は紅葉、落葉してどんどん寂しい姿になっていく中、街は師走に向かって忙しなくイルミネーションだなんだと着飾るこの時期に、聞きたくなる曲がある。

ティーンエイジ・ファンクラブのアルバム「Bandwagonesque」、その中でも特に「Alchoholiday」はこの季節に聞くのにぴったりだ、と思っている。

(シングルカットでないのでPV等公式に上がっているものがなかったのだけど…)CDだともう少しスローテンポでより秋っぽい(?)。
(Apple musicにはないので、気になる方はCDを。中古でよく売ってる)

ティーンエイジ・ファンクラブの曲は、とっても高い空とかだだっ広い田舎町の光景を思わせるような音をしているな、と常々思っているのだけど、(かなりカントリーぽいアルバムもある)それは彼らがグラスゴー出身なこととも関係あるのかもしれない。
彼らの曲から(曇りや雨が多いという)ロンドンの空気や都会感はあまり感じない。カラッとした湿気のない晴れ空が似合う。

しかしわたしとしては、バンドワゴネスクはわりかし都会的なおセンチ感も漂っていると思っていて、それがこの11月の、木枯らし一号が吹く頃の、空気にマッチするのかもしれない。

木々が黄色や赤に燃えて落ちていく自然の美しさと、街がキラキラと飾りつけられていくのになんだかどこか寂しい気持ちになる都会的センチメタルが同居している、気がする。

こんなにも気持ち良く晴れているのに、街も木々も色づいて賑やかしくなっていくのに、空気はツンと刺すように冷たい。まだお昼なのに、もう日が傾いていて、気づけばもう1年が終わろうとしている。急かされるように終わりの季節へ向かって歩かされるような焦燥感。

師走へ向かっていく都会のきらびやかな慌ただしさに疲れたら、落葉樹で色づく道をこの曲を聴きながら散歩してみてほしい。できれば、よく晴れた日に。
何にも解決しないし元気にはならないかもしれないけど、なんだか美しくって泣きそうになるから。

………………


そんなティーンエイジ・ファンクラブがバンド結成30周年というアニバーサリーツアーを開催するらしい。日本は2月。
お金なさすぎて行くか迷ってたけど、これ書いてたらなんか行かなきゃダメだ…!という気持ちになったので書き終わるまえにもう途中でチケットを取ってしまいました。

東京公演のサポートアクトはサニーデイ・サービス!いいねえいいねえ…楽しみだねえ…ちなみにサニーデイ・サービスは春の晴れた日に聴きたいよね。

読んでいただきありがとうございます。売れない作家ゆえ、サポートでご支援いただけるととってもありがたいです。制作費や生活費になります。