見出し画像

超基礎!株市場用語「Buffett indicator」

前回Everything Bubble の記事を書いた時に出会ったこの言葉、Buffett Indicator (バフェット指数)。いやいや、知りませんよ、そんな専門用語。

アメリカにいると株の話はちょくちょく話題に登るので結構知ってるつもりだったが。こんな基礎的な用語も知らなかった。いい機会なのでメモしておこう。ここではザックリ最低限の事しかメモらないので、詳しく知りたい方々はネットを漁ってみて。英語のサイトでよければ、私の参考にしたサイトも覗いてみて。

Buffett indicator (バフェット指数)とは

まず、私同様の超初心者の方の為にすご〜く平くザックリ説明。Buffett Indicatorとは、株市場の値が実経済を過大評価(100%以上)/まぁ適正(〜100%)/過小評価(100%以下)しているかを表す指標。長期の市場動向予想に使われる。多分だが、このバフェット指数で「株市場の動きを予想できて大儲け!」という下心を持ってこの記事を読んでいる事だろう、そこの君。残念ながらこの数値単体では今後の株市場の動きは予想するなんて危ういので、他のデータと合わせて使うのが望まれる。(予想については下の方でもう少し触れる)

Buffett indicator (B I)の求め方

では、具体的にどの様にその数値が弾き出されるかをみてみる。必要なデータは2つ。

  • TMV: Total US Market Value=全アメリカ株市場値の合計で、一般にはWiltshire 5000 Market Capの数値が使われるらしい(S&Pとかもあり。)市場の動向により日々変動する。

  • GDP(US Gross Domestic Product)=アメリカ国内のある一定の期間の経済活動によって生産された総額。大抵は四半期(3ヶ月ごと)の数値を使うが、ザックリでいいのなら過去一年通年の値を使うのもあり。

そしてこの2つの値の比がバフェット指数(BI)で、式は:

$$
B I=\frac{TMV}{GDP}100
$$

Current Market Valuation

となる。興味深い点としては、株価には基本「近い未来の経済価値予想」が反映されているので、TMVは「現時点」での「近い未来」の経済活動の評価になる。それに対して、GDPは直近過去3ヶ月とか過去一年とか「過去」の働きとなる。時間のズレがあるのは、つまり、これだけ頑張ったんだから、結果これだけの価値が予想されるよね、という感じなのだろうか。

現在のBuffett Indicatorを計算してみよう

では現在のバフェット指数を計算してみよう。この記事を書いているのは2022年10月14日で、TMVは$36.7T (ソースリンク)で、GDP(2022 第2四半期)は$25.2T(ソースリンク)。(Tはトリリオンの略で、ゼロが12個つく)
よって、

$$
BI=\frac{TMV}{GDP}100=\frac{36.7T}{25.2T}100=145
$$

となる。単位が%なので、145%となる。で、これは100%より大きいので、今の株市場値は過大評価となる。ちなみに、参考にしたリンク先によると、ピークは去年2021年の12月で、その時のバフェット指数は202%だ

Buffett Indicatorの弱み

上の式からわかるように2つの値しか使っていないので問題を単純にし過ぎているという指摘がある。例えば、Wilshire5000に入っていない企業の価値はもちろん含まれていないし、GDPもアメリカ企業のアメリカでの経済活動しか含まれず国際的な企業の国外の活動は含まれない。よって、上に書いたようにこの指数単体での予想は難しいく、他のデータと合わせて考慮すべき。インフレ率、金利、失業率などの簡単な数値から、参考リンクのリストのような難しいデータもある。果てしなく面倒そう。

現在は過大評価気味という結果となっているが、その心は?

今はピーク時の202%から既にかなり下がっているが、このまま下がり続けるのか? ボトムはどこか? 私個人としては、参考リンク先のCurrent Market Valuationの分析が一番気に入っている。簡単にザックリ説明すると、歴史的にみて、バフェット指数(B I)が標準偏差2以上も平均より高い指数値に達した場合は、5年後までに確実にバフェット指数(B I)は100%を割るまで下がる。今回ピークがB I =202%で軽々と標準偏数2を超えてしまったので、今後下がり続けると予想される。詳しくは参考リンク先のFigure4とFigure6あたりを読んでほしい。

アメリカ人の多くの老後資金が株式に頼っているので今現在既に退職している方は不安だろうと思う。あまり大きく下がらないことを切に願い、今後もバフェット指数を見ながら入口を見極めたいと思う。



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?