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コラム(28日)、「底を突いた余剰貯蓄、米経済に忍び寄る個人消費急減速の足音」、どうやら米国経済はピークを打ったようだ

タイトルに掲げたのはブルームバーグ(B B)が28日(日本時間)の未明に配信した記事だ。記事は次のような書き出しで始まっている。「新型コロナ禍の時期に積み上がった家計の貯蓄は過去数年間、米国の消費者が物価高を乗り切る助けとなってきた。そのクッションがすり減っていることで消費の活力が失われ、経済全体に影響が及びつつある」と。米国民の「余剰貯蓄」、これが米経済の堅調さを支える最大の要因だった、個人的にそう考えている。要するに国民の懐が潤えば、経済全体が好循環する。米経済の堅調さは西側経済の先行きを考える上で一つのヒントを提供しているのではないか、そんな気がするのだ。ただし、この経済のスタイルには一つの大きな欠陥がある。それは財政の赤字が膨らむことだ。国民の懐を潤し財政を健全化する方法はないのか、これが自由主義経済のこれからの課題のような気がする。

B Bの記事に戻ろう。「家計債務の返済遅延は増加しており、企業の決算発表では消費者の慎重姿勢を指摘する声が相次いでいる。5月の米小売売上高は前月比0.1%増にとどまり、前月分は0.2%減に下方修正された。28日に発表される5月の実質個人消費支出(PCE)についてエコノミストは0.3%増を予想しているが、これはガソリン価格の下落が寄与したとみられる。前月の実質PCEは0.1%減と、予想外のマイナスとなっていた」。きょうの夜、注目のP C E価格指数が発表される。経済の評価をめぐってはいろいろな見方があり、評価がある。賛成する人も反対する人もいる。それはそれでいいのだが、問題は国民が豊かになると同時に財政が健全化する道はないのか、西側諸国が直面する切実な課題でもある。富裕層に富が集中し、国民の大半がローンの返済に苦労するような状況をどうやったら改善できるのか、米国に限らずに西側諸国が直面している切実な課題だろう。

バイデン大統領にトランプ前大統領が挑戦する米国の大統領選挙の最大の課題は、戦争でも国際秩序でもカーボーンニュートラルでもない、経済だ。ニューヨーク連銀の調査によれば、「米国の家計債務は過去最高を更新し、クレジットカードの支払いが滞る消費者が増えている。米国勢調査局による最近の調査では、通常の家計支出を支払うのが『やや困難』または『非常に困難』との回答が全体の3分の1に上った」という。マクロ面では一人勝ちと言われる米国経済にも、よくよく見るとミクロ面には大きな影が宿り始めているようだ。折しも今日はバイデン対トランプのテレビ討論会の日。テレビ中継を見ると両候補が増税だ、減税だと言葉の暴力をぶつけ合っている。そうじゃないだろう。たとえばイーロンマスク氏の8兆円にのぼる巨額報酬は、自由主義経済の先行きに貢献するのかどうか、資本主義経済のあり方が問われているのではないか。経済の好循環を作り出せるのは政府でも個人でもない。民間企業の役割のような気がする。


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