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走っている。 俺は走っている。 どうして走っているのかはわからない。理由なんて忘れてしまった。理由なんてないのかもしれない。ただ俺は訳もなく道を駆け抜け続けるのだ。そう考えてみる。どうもピンと来ない。理由というか何というか走り始めるきっかけというものくらいはどこかにあったのではないだろうかと考えてもだがわからない。やはりわからない。何もわからない。というか俺は今どこを走っているのだ。どこの道だ。コンクリートで舗装された道だ。細い道だ。まっすぐ続いている。いや、ここは森の
#n題噺 【お題】七草粥/七不思議/虹/一週間/七福神/七味/音階 私の足は炬燵で温まる。 私の右耳はTVの音を聞いている。 私の左耳はキッチンの音を聞いている。 「今日はさー、何作ってんのー?」 「何って、言わんかったっけ、七草粥」 「え!? 粥!? お粥ぅ!? ……あ、今日って七日か。そっか……」 「作ってもらってる立場で不満そうな声出しやがってよう。まあ足りないだろうから、おかずに唐揚げ買ってきたけど」 「やったぜ。今日のご飯は唐揚げか」 「七草粥だっての。……
バイクの音。 郵便だろうか。 玄関まで行って郵便受けを覗くと、やはり手紙が入っている。でも、おかしいな。真っ白い封筒には、何も書かれていない。差出人も、宛先も。切手もない。 おかしいなと思いながら私は封を開ける。 一枚の切符が出てくる。 「初夢」と書かれている切符だ。初夢……もしかするとこれは夢なのだろうか? 頬をつねる。普通に痛い。あれ? 現実か? しかし切符から視線を外すと、家の玄関にいた筈の私は、今どこかの駅のホームに立っているのだと気付く。やっぱり夢なの