その場しのぎと商品計画
「その商品の他社に対する優位点は何ですか?」
しばらく前まで「こんな商品があれば売れるので作ってください」と言っていた営業も、実際に製品が出てくると掌を返したかのように他人行儀に質問してきます。
売れると言われたからその通りに作りましたよ、などという返事はマーケターや商品企画が口にすべきものではありません。
営業は常に「売れる」ものが欲しいのですから、売れる理由を常に揃えなければなりません。
カテゴリー特性や競争環境、コモディティ化の加減によって差別化や強みの訴求に対するハードルが変わってきます。
当初は競合と想定していなかった製品が価格の下落によってバッティングすることもあります。
そんな時に冒頭の質問を受けると困惑してしまいます。
時に理不尽とも思えるこの質問にどう向き合うべきでしょうか。
間違えてはいけないのは、理不尽なのは競争環境であって質問内容ではないということです。
強みは何か、差別化は何か、それは競争をする上で最低限の観点です。
それが分からない状態になっているのは何かしらの理不尽か、仕事の甘さによるものです。
後付けで強みを見つけるのは難しいようで、実はやりようがあり、しかも先々の企画も生まれてくるお得な方法があります。
それは違いを見つけることです。
まず気をつけるべきことはデザインやターゲット顧客による説明は有効ではないということです。
それらが違いとして効果を発揮するならば優位性を問われることはありません。
違いとはスペック比較で得られる情報です。
全てが同じであれば価格で競争するしかありませんが、少しでも何かの違いがあるのであれば、良い点でも悪い点でも意味付けをして補強することができます。
「違い」と表現しているのは強みも弱みも関係なく「同じではない点」を見つける為です。
同じでないなら真似できません。
そこに意味付けができれば優位性として表現できることになります。
違いは多いほど強みに転化しやすくなります。
単体ではスペック差にすぎない情報も複数掛け合わせれば別の意味を持たせることができます。
少し軽くて少し小さいなら持ち運びやすいようにした、少し酸っぱくて少し濃度が低いなら喉越し良くした、といったように感覚的な表現をするには複数項目の組み合わせが有効です。
どうにか違いを見つけて、違いを組み合わせて優位点を生み出していくのです。
違いを重ねれば優位点を見出せる可能性が高まります。
ですがそれはあくまでもその場しのぎです。
本来はその強みづくりを先にしなければなりません。
そんな時にはその場しのぎで作り出した優位点を実現すれば良いのです。
最初はその場しのぎかもしれませんが、狙って実現できるのであればそれは企画であり戦略です。
苦し紛れもその後に活用すれば便利に扱えることでしょう。
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