顧客は特定せよ
顧客は誰か。
マーケティング活動のスタート段階で問われる質問です。
マーケティング目標があり、顧客と顧客価値を特定し、それらをコンセプトとしてまとめ上げていきます。
誰に提供したいかは重要な問題です。
ところが、誰が買ってくれているかわからない商品や多くの人が買ってくれる商品を企画する時、顧客の特定を拒む姿勢が生まれます。
曰く、売れている状況下で顧客を絞れば売れなくなる。
曰く、より多くの人に買ってもらいたいから絞りたくない。
曰く、実際の購入者が見えないのに作り手が決めるわけにはいかない。
どれもそれらしい理由に聞こえますが、その陰には「面倒だ」という想いが隠れていそうです。
顧客を特定することと、購入者を選別したり制限したりすることは全く異なります。
製品の魅力を鮮明にする為の企画プロセスなのです。
例えば講義や講演会を想像してみてください。
「何か質問がある人はいますか?」そう投げかけても静まり返ることがあります。
どなたでも、どんな内容でもと問いかけても沈黙が続きます。
その場に何か追加で聞きたいというニーズがないからです。
講義の内容が「座る位置と成績の関係」というテーマだったとして、前三列に座る人の成績はその後ろに比べて優位な成績差があるという話をしたとします。
「前から三列の方で質問がある人はいませんか?」
そう聞かれたら、一部の人は自分が何かを聞かなければならないと思うかもしれませんし、ふと質問を思いつくかもしれません。
「最前列中央のあなた」と聞かれたらもはや答えざるをえなくなります。
そして誰かが質問をすると、質問のレベルを理解して安心して手を上げる人、質問に相乗りしようとする人など、刺激を受けて徐々に場が盛り上がっていきます。
顧客を特定するということは、反応するべき人を示すことで反応を返しやすくすることです。
そして反応が返っていることを見た周囲の人が更に連鎖的に反応する為のきっかけを作る為のものです。
特定の人に対して質問を禁止するわけではないように、切り捨てるのではありません。
また、最初に指名した相手があまりにもマニアックで誰も続かなければ意味がありませんので、適度な絞り込み加減に調整する必要があります。
好みの多様化により万人受けという環境が作りにくい世の中です。
多くの人にという意見は思考の掘り下げをサボっているくらいの認識で考えていくのが良いでしょう。
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