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エッセイ│エンパス?感知センサーのこと

わたしには少し、特殊な能力がある。

わたしには、人の感情の動きや、人の心の負の部分を敏感に感知するセンサーがあって、どうやらそれはとても鋭いセンサーのようなのだ。

特に負の部分を感知するセンサーは鋭すぎて、だけれどなんの知識もなかった頃のわたしは、感知したものを間違って読み取っていたり、ただただ持て余したりもしていた。

これをセンサーだと表現したのは、愛する彼女。「優れたセンサーよね」そう、言ってくれた。

だからこそ、知識をつけること、勉強することを進めてくれた。優れたセンサーだからこそ、知識を付けて使い方を学ぶのだと。そしてそのセンサーは人を支援することに向いてるのだと。

世間的にはそんなのをHSPとかエンパスとか、そんな言葉であてはめるのかな。スピリチュアル系も含めて、色々な言葉があることは知っている。だけどそういった説明を読んでも大抵、わたしとは少し違うな・・・そう思うことが多い。

だけど言葉でのカテゴライズなんてどうてもいいことだ。

わたしはこれを役立てたい。今はそう強く思っている。

最近もこんなことがあった。

わたしが勤める会社は、基本的に人柄採用を重視していて。人間的に良い人が多い。そのおかげで人付き合いの苦手なわたしがこの数十年、人間関係に何の悩みもなく働けている。

だけど・・・

数年前に中途入社で入ってきた若い男性社員がいて。

とても爽やかで人当たりが良く、一生懸命な姿勢で仕事をこなし、役員からの高評価も得て、数年で部署の責任者にまで上り詰めた。

だけど早くからわたしは、この人物からヤバイ空気感を読み取っていた。

いや、話したことは数回しかない。人間性もなにも「まったく知らない」

と言っていいほどの関わりしかしていない。それでも、わたしは間違いなく、この自分物からヤバイ空気を感じていた。

どうヤバいのか。

何かが欠けている。人間的な、わたしがとても大切にしてきたもの。それがこの人物からは感じられなかった。

だから余計にわたしは、関わらないようにしてきた。そして向こうも何か察しているのか、このわたしには絶対に、仕事でどうしても必要なこと以外は

話しかけてもこない。朝会っても、挨拶もされない。

なぜこの人物が入社できて、しかもずっとここに居れるのだろう。人柄重視採用なのに。今までは「この人おかしいな?」と感じる、いわば間違って入ってきた人は、会社にあわずにすぐに辞めていったが。

この人物は人を見て、自分に都合が良いかどうかを瞬時に判断をして、周囲と接しているふしがある。だから上から愛されるのも理解ができる。今まで人柄採用に鼻が利いていた役員も、この人物を見分けることはできなかったのだろう。そして今までは周囲から、悪い話も聞かなかったのだ。

サイコパスだかソシオパスだか・・・どちらにしろ何らしら偏ったパーソナリティであり、人間にとって大切な何かが、すっぽりと抜け落ちている人物である。

誰も気づいていないのかな・・・

会社にとって大切な部署の責任者となったことで、このままではどうなるのかと気になってしまっていたわたしは、わたしが信頼する、とある部署の女性課長と飲み会の機会があったので、こっそりとその人物についてどう思うか、それとなく聞いてみた。

そしたら・・・

「あれは・・・中々の腹黒ですよ」

そう一言。

おもしろい話をいつもする女性課長。冗談でそういう話をすることもあるけれど、その時の目は真剣で、一言もクスリとも笑ってはいなかった。

その後も仕事でのやりとりや周囲からの評判など、色々と聞かせてくれた。人をバカにする素振りがあることや、最近になってどうやら、仕事で関わりがある人からは、悪評も聞かれるらしい。そりゃそうだな。人を見て態度を分けていれば、いつかはバレる。大切なパーソナリティが抜け落ちた人物というものは、いくら賢く取り繕ってうまくやっているつもりでも、自分が持つ負の感情には負けてしまうものだ。こみ上げる自己顕示欲や自己優位性を、隠すことは出来なくなってしまうものだ。

「わたしはね。あの腹黒さを上にわからせたい。そう思ってるのよ」

女性課長はそう言って、お互い頑張りましょうねと笑ってくれた。

あ、わたしのセンサーはやっぱり、間違ってなかったんだ。

そう確信ができた。
そしてもう一つの確信。

今まで周囲には一切、その人物のそんな話題はしないようにしてきた。理解してもらえる人がいるかもわからなかったからだ。だけどもこうやって、正直に直球で確認してみる相手の選び方も、わたしは間違えなかった。これもセンサーのおかげだよね。

その女性課長の入社当時、わたしは彼女から少し、怖さを感じていた。

「全然怖い人じゃないよ?」

みんなそう言っていた。確かにユーモアがあってとてもオモシロイ人、ではあるのだ。だけど怖さもあった。その頃のわたしは、まだ心理学などの知識もなく。その怖さが何物なのか、理解をしてはいなかった。だけれど今はわかる。

人を見る目がとても鋭い、のだ。

わたしの様に感知センサーがあるわけではなく、恐らく今までの社会経験上から得た警戒心。それが彼女の鋭さに繋がっているのだと。それがわかってからはわたしは、機会があれば心を割って、話すようにしている。警戒心が取れた彼女はとても、ユーモアがあってオモシロイ人なのだ。この日も良い話ができた。とても良い時間を持てたわたしは、わたしのセンサーに感謝した。

このセンサーを表現するには様々な言葉が当てはまるだろう。だけどもはやそれはどうでもいい。このセンサーはわたしの人生を彩り、豊かなものにしてくれる。豊かな人たちとの出逢いに気づかせてくれる。


だからわたしはわたしに誓った。


いつか必ず、このセンサーを必要な人たちのために、使えるように。




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